沖縄県は10日、県管理の下地島空港(宮古島市)と周辺の県有地を民間事業者が活用する第2期事業として、航空機による宇宙旅行を実現する「下地島宇宙港事業」を提案したPDエアロスペース(名古屋市、緒川修治社長)と基本合意した。「宇宙に行ける島、下地島」をコンセプトに、機体の開発や格納庫の建設などの整備に乗り出す。

PDエアロスペースが開発中の宇宙飛行機のイメージ(提供・PDエアロスペース、小池輝政氏)

宇宙飛行のイメージ図

下地島宇宙港事業(予定)骨子

PDエアロスペースが開発中の宇宙飛行機のイメージ(提供・PDエアロスペース、小池輝政氏) 宇宙飛行のイメージ図 下地島宇宙港事業(予定)骨子

 宇宙航空機の飛行時間は約90分。約5分間、無重量の宇宙空間を体験できる。窓から地球を眺めて帰還する。価格は1400万~1500万円程度を見込む。2025年5月にも、一般客を乗せた運行を計画する。

 県庁で基本合意書締結式を開き、謝花喜一郎副知事と緒川社長が合意書を交わした。

 有人宇宙旅行の拠点としてはアジア初。都道府県の管理空港が宇宙港になるのは全国初。25年に年間100人、30年は千人を宇宙へ送り出す目標を掲げている。

 宇宙機はロケットではなく、航空機タイプ。下地島空港の3千メートル滑走路を追加舗装せず離着陸できる。

 ジェット燃料で航空機と同じように飛び立ち、高度15キロからロケット燃料に切り替え垂直に上昇。高度50キロでエンジンを停止し、そのまま勢いで高度100キロに到達する。

 今年12月にも高度10キロまでの無人機実証実験を始め、高度100キロまで行ける無人機の実証実験は21年10月に開始予定。成功すれば、22年度内にも宇宙旅行の先行販売を始める。有人機による実証実験を経て実用化する。

 宇宙旅行者向けの訓練や、飛行実験を含む宇宙機の開発現場などをコンテンツとした、観光客の受け入れ事業も実施する。

 緒川社長は「多くの方々と協力して、宇宙ビジネスの拠点化を考えている」と説明。旅行や航空、保険会社など、県内外の企業と共同事業体を設立する考えを示した。11月ごろ初期メンバーを発表する予定という。

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 PDエアロスペース 愛知県に本社を置く宇宙航空機開発のベンチャー企業。民間主導で宇宙旅行や宇宙太陽光発電所建設など、宇宙利用の拡大を目指している。2007年5月に設立。ANAホールディングスやみずほキャピタルなどが出資している。社員数は30人。宇宙航空研究開発機構(JAXA)や東京大学などと産学官で連携し、エンジンや機体開発を進めている。