社説

社説[首里城火災中間報告]初期消火の失敗教訓に

2020年9月13日 05:00

 首里城火災に関する第三者委員会の中間報告で色濃く浮かび上がったのは、火災発見の遅れと初期消火の失敗である。

 あの日の衝撃と悲しみを忘れずに、反省と教訓を踏まえ、実践的訓練など備えを強化すべきだ。

 首里城火災を受けて今年3月に県が設置した専門家らによる第三者委が、玉城デニー知事に中間報告書を提出した。正殿をはじめ主要6棟が全焼した要因を分析し、再発防止策に触れる。

 既に県警と那覇市消防局の出火原因調査は終了しており、結論はほぼ同じだ。火元は「正殿北東側」と推測し、「電気関係設備が原因となった可能性は否定できない」とする。

 火災発見に遅れが生じたことについては、本来、発生を最も早く感知するはずの火災報知機が、防犯設備の人感センサーより6分遅れて作動したことを挙げる。警備員らが駆け付けた時には黒煙が立ち込め、正殿内の消火器が使えず初期消火に至らなかったのだ。

 さらに駆け付けた消防は、城郭内に入る門に鍵がかかっていることを知らされず、放水まで時間を要した。

 早期発見と初期消火が鍵となる中、夜間の火災を想定した訓練を実施してこなかったことや、警備員らの役割分担が不十分だったことは大きな反省点である。

 正殿1階にあった火災報知設備は空気管式の熱感知器だったという。国の技術検討委員会でも提起されたように、早期発見に有効な煙感知器の設置など最先端の設備導入が不可欠だ。 

■    ■

 管理体制の問題にも向き合わなければならない。

 城郭内の建築物は国有財産で、城郭外の首里(すい)杜(むい)館は県営公園内の県有財産だ。

 報告書は「城郭内と城郭外では設備の設置主体が異なっていたため、公園全体の一括管理がされていない状況にある」と指摘する。人感センサーが正殿内の異常を探知しても、首里杜館にある防災センターでは情報を即時に得ることができない。

 他方、報告書からは正殿などを所有する国、管理する県、運営を委託された指定管理者の沖縄美ら島財団の責任は必ずしも明確ではない。

 その責任のあいまいさが、数々の「想定外」を生んだのではないか。

 3者で教訓の共有を図った上、国営・県営ゾーンの壁を取り払い、連携して防火対策に取り組む必要がある。

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 いまだ続く喪失感の中には、琉球王国の美術工芸品など約400点を失った悲しみもある。 

 報告書が示すように、「寄満(ゆいんち)多目的室」といった防火に適さない部屋に一部の文化財が保管されていたことが原因だ。

 加えて火災で損傷した美術工芸品の修繕には20~30年かかるとされる。失ったものの大きさをいまさらながら痛感する。

 最終報告書は来年3月までにまとまる予定だ。「沖縄の歴史を守る」抜本的な対策につなげてほしい。

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