沖縄県名護市の東江小学校を1966年3月に卒業した児童が卒業記念として贈った同校の「国旗掲揚台」がこのほど、修復された。老朽化が進んでいたが、新たに同校の歴史を刻む「モニュメント(記念碑)」として生まれ変わった。関係者らは「学校のシンボルとして後世まで受け継がれてほしい」と願っている。(北部報道部・當銘悠)
掲揚台建立には当時の卒業生の保護者らが関わった。今回、開校135周年の記念事業の一環で運動場が整備されることになり、学校側から掲揚台の移築の依頼を受け、66年の卒業生である比嘉肇さん(66)が中心となって同期生ら有志から寄付金を募った。
老朽化が進んでいたため移築ではなく、修復して記念碑として残すことにした。比嘉さんは1期後輩となる山城一三さん(66)と共に、リニューアルのデザインに携わった。子どもたちの安全面を考慮して角を丸くするなど工夫したほか、琉球石灰岩を張った土台に歴史が分かるよう説明書きも設置。ことし3月から着工し、4月に完成した。
掲揚台は当時の仲宗根善行校長が「飛翠(ひすい)」と名付け、「学校の羽ばたきのシンボルにしたい」という願いが込められている。これまでも校舎の増築などに伴い、少しずつ場所を変えながら同校の歴史を見守ってきた。
比嘉さんは「自分たちの卒業記念として残してきたもの。子どもたちにも歴史を知ってほしい」と願う。山城さんの父親である故・栄清さんは当時、掲揚台の工事を担当。掲揚台の寄贈を報じる1965年11月12日付の本紙記事で父の名前を見て、子どもながらに誇りに思ったことを振り返る。山城さんは「願いが込められた東江小の歴史。後世まで残したいという思いがあった」と語った。
黛智久校長は「みんなが記念碑の周りで遊んでいて、良い憩いの場となっている。本校のシンボル的な建造物としてこれからも引き継いでいきたい」と話した。