火災で全焼した宜野湾市真栄原のギャラリー・PIN-UP(ピンナップ)の再建に向け、若手アーティストらによる支援の輪が広がっている。10月1日からは展覧会を再開予定で、クラウドファンディングの準備も進んでいる。オーナーの許田盛哉さん(31)は「勇気づけられる。1人だったら引退も考えていた」と感謝する。(学芸部・真栄里泰球)

原因不明の火災で全焼したPIN―UPの内部

ギャラリーPIN―UPの再建へ動く(右から)許田盛哉さん、すこ太さん、丹治りえさん=13日、宜野湾市真栄原

原因不明の火災で全焼したPIN―UPの内部 ギャラリーPIN―UPの再建へ動く(右から)許田盛哉さん、すこ太さん、丹治りえさん=13日、宜野湾市真栄原

 火災は9月5日に発生。連絡を受けた許田さんが到着した時には全焼していたという。「現実味がなく、信じられなかった。原因はいまだに不明です」と振り返る。PIN-UPは、宜野湾市真栄原の通称「新町」の元違法風俗店を、許田さんが自力で改装して2017年にオープンした。多くの若い作家の発表の場となっていた。

 20代のフォトグラファー・すこたさんは8月下旬に初個展を開いた。SNSで発表するのとは違った手応えを感じたという。「すごく温かくて、誰でもウエルカム。表現する上でプッシュしてくれる」と、ギャラリーと許田さんの魅力を語る。火災直後に現場に駆け付けた作家の1人、丹治りえさん(37)も「活気があり、作家とのつながりが深いなと思っていた」と話す。

 フランスで移民の多い地区を撮った「93 Hard Core」などの個展をPIN-UPで開いた兵庫県の写真家・前田洋平さん(29)は「ここに育ててもらった。自由に何をやってもいい場所を、なくしたくない」とクラウドファンディングを許田さんに提案。了解を得て、すこたさんら計5人で9月中の開始を目指している。ギャラリーの再建や作品が燃えてしまった作家への補償などに充てる計画だという。

 その他、作品販売の収益を寄付するというアーティストや、展覧会の代替場所を提供するアートスペースがあるなど、輪は広がる。10月1日には、丹治さんも出品する「アカイ・ヌ・アガタ」展が始まる。火災に遭った建物を展示会場とする工夫を練っているという。

 建物内部は全焼したが、外壁に描かれたPIN-UPのロゴは無事だった。許田さんは「周りに助けられている。今へこんだらやばい。再建の場所なども考えていきたい」と前を向いている。