社説

社説[菅内閣発足]真に「寄り添う」政治を

2020年9月17日 06:49

 菅義偉自民党総裁が第99代首相に選出され、新内閣が発足した。

 当初「派閥からの推薦を受け付けない」としていたが、結果的には、派閥均衡型の布陣となった。麻生太郎副総理兼財務相をはじめ安倍内閣の閣僚の再任や横滑りが目立つのも特徴だ。女性閣僚も2人にとどまった。

 菅氏のスローガンは「既得権益を打破し、国民のために働く内閣をつくる」である。

 行政改革・規制改革担当相には、河野太郎前防衛相を充てた。沖縄担当相も兼ねる。

 規制改革を巡っては、オンライン診療や遠隔教育の拡大など府省庁をまたぐ問題も多い。目指す改革を国民に誇示する狙いがあるとみられる。

 新型コロナウイルス感染の収束という最優先課題を担う厚労相には、石破派から再登板となる田村憲久氏を起用した。実務能力を重視するという面で、一定程度は菅カラーが出たといえるだろう。

 総裁選で菅氏が、消費税について「(将来的に)引き上げざるを得ない」とした発言を修正する場面があった。首相就任後の国会対応を問われ、出席は重要な局面に限定すべきだと話したのは、国会軽視とも受け止められかねない。政権の決めた政策の方向性に反対する省庁幹部は「異動してもらう」とも発言。

 異論を許さないトップダウンは、「1強政治」につながる恐れがある。

 国民の理解と協力を得るために、菅首相には説明責任と意思決定の透明性が、一層求められる。

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 沖縄振興特別措置法(沖振法)は2021年度末に期限を迎える。

 沖縄担当相に就任した河野氏は、防衛相、外相として基地問題にも関わった。この間、安倍内閣は、新基地賛成の知事には予算を増額し、反対の知事には減額する「基地と振興のバーター」を強めた。

 振興計画は、沖縄戦による甚大な被害と27年間に及ぶ米軍統治によって生じた本土との格差是正が出発点だ。離島における経済格差や子どもの貧困問題など課題は残る。

 コロナ禍で戦後最悪とされる経済低迷。中でも沖縄は「全国で最も大きなダメージを受けている地域の一つ」(日銀審議委員)だ。コロナ後も見据え、産業の育成やアジアからの物流需要を取り込むなど沖縄の優位性を生かした自立型経済と自主性が最大限発揮できる仕組みが必要だ。河野氏の「突破力」を生かし、規制緩和などに取り組んでほしい。

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 加藤勝信官房長官が沖縄基地負担軽減担当相を兼ねる。まずは一日も早く、沖縄に足を運んでもらいたい。

 住宅や学校に囲まれ世界一危険といわれる普天間飛行場、名護市辺野古の新基地建設周辺の生物多様性を誇る海。

 安倍政権は「県民に寄り添う」としながら、民意に背を向け、かたくなに「辺野古が唯一」と繰り返してきた。

 基地の現状を見た上で、玉城デニー知事と胸襟を開き、話し合うことが、真に県民に寄り添う政治の第一歩になる。

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