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苦闘する琉球ガラスの各工房 売上60~80%減、存続の危機

2020年9月18日 06:03

 県琉球ガラス製造協同組合(稲嶺秀信理事長)は15日から、工房を支援するクラウドファンディング「STAY HOME 今だからこそ琉球ガラスで沖縄を感じてください」をスタートした。観光客が主なターゲットの琉球ガラスメーカーは、新型コロナウイルス感染拡大の影響で苦境に立たされているが、関係者は「こんな時だからこそ琉球ガラスで沖縄を感じてほしい」と語る。

ガラスの原料を溶かす窯について説明する県琉球ガラス製造協同組合の松田英吉副理事長=10日、うるま市の琉球ガラス匠工房

琉球ガラス製造協同組合によるクラウドファンディングのイメージ画像

ガラスの原料を溶かす窯について説明する県琉球ガラス製造協同組合の松田英吉副理事長=10日、うるま市の琉球ガラス匠工房 琉球ガラス製造協同組合によるクラウドファンディングのイメージ画像

 組合の副理事長を務める松田英吉さんの「琉球ガラス匠工房」(うるま市)では、1300度に達する溶解炉は真っ赤に燃え、高熱を放っていた。松田さんによると、高温に達する溶解炉の窯は、工房が完成して火入れした後、一度も火を消したことはないという。

 しかし新型コロナによる観光客の激減で各工房は昨年比で60~80%ほど売り上げを減らしており、窯を燃やし続けるだけでコストがかかるため、火を鎮めざるを得ない工房も出てきている。

 「森のガラス館」(名護市)の島津広明店長は「4~6月はほとんど営業できず、窯の火も止めた」とため息をつく。修学旅行など団体客のキャンセルが響いたと言い、「現在は国などの給付金でなんとか従業員の雇用も維持している。今後の見通しが立たないが、従業員の削減などはなるべく避けたい」と話す。

 読谷村にある「RYUKYU GLASS WORKS 海風」の屋良彰代表も、「7月以降の県内での感染拡大や緊急事態宣言が大きく響いた」と語る。「収入は減っても家賃などの固定費は出ていく一方。ネット通販にも力を入れているが、落ち込みを埋め合わせるには全然足りない」と苦悩の表情を見せた。

 新型コロナの影響は個人経営の工房も直撃した。うるま市の「ガラス工房てとてと」の松本栄代表は「家族で工房を運営していると、コロナで学校が休校になった時に子どもの世話のために営業できない日もある」と話し、「以前は県外のセレクトショップの人が視察に来たりすることもあったが、現状ではそれもほぼない」と肩を落とした。

 松本さんは「クラウドファンディングが悪戦苦闘しているそれぞれの工房の現状を知ってもらうきっかけになれば」と期待。幅広く支援を募り、集まった支援金は各工房の運営費に充てる予定だ。参加工房も今後増える見込みだ。

 「琉球ガラスはほぼ機械を使っておらず、職人の技術が集約されている」と誇る松本さんは、このまま窯の火をつけられず、技能が途絶えていくことも危惧している。

 琉球ガラスという文化の存続のため、組合として初めてのクラウドファンディング実施を決めた。県外のファンには「この夏は沖縄に来られなかった分、返礼品の琉球ガラスで沖縄を感じてほしい」と呼び掛けた。(中部報道部・宮城一彰)

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