社説

社説[知事・沖縄相会談]振興のゆがみ正す時だ

2020年9月20日 05:00

 玉城デニー知事はきのう、河野太郎沖縄担当相と県庁で会談した。

 知事が沖縄振興への協力を求めたのに対し、河野氏は「しっかり支える」と応じた。一方、新基地建設反対の民意は示されており「対話に真摯(しんし)に応じてほしい」との訴えには、明確に返答しなかった。

 菅内閣発足から4日目、あいさつのための来県で、時間も短く、突っ込んだ議論にはならなかった。

 とはいえ菅義偉首相に近く、行政改革で実績を上げてきた政治家だけに、これまでの担当相と違い、県にとっては手ごわい相手となりそうだ。

 「オール沖縄」勢力にとどまらず、特別措置の延長などで国とのパイプを重視する経済界にとってもそうである。

 河野氏は歯に衣(きぬ)着せぬ物言いで知られ、その「突破力」を見込まれて大臣に起用されたという。

 就任会見では基地と振興の「ひっくるめ論」という持論を展開。しかし言葉だけが独り歩きして中身ははっきりしない。

 ただ菅首相が河野氏を防衛相から横滑りさせ、行政改革担当相と兼務させた狙いは明確だ。一言でいえば、官房長官時代、菅氏が敷いた路線を確実に継承することである。

 基地と振興という二つの「沖縄案件」は本来、別々の政策課題であるが、菅氏は二つをリンクさせ、アメとムチを巧妙に使い分けることで新基地に反対する県をけん制し、沖縄内部の分断を図った。

 その手法が踏襲されることになれば、沖縄振興はますますゆがむ。

■    ■

 安倍政権時代、沖縄基地負担軽減担当相だった菅氏の主導で、振興策に「政治の意思」が持ち込まれるようになった。

 一括交付金を大幅に減額しただけではない。県を通さず国から市町村に直接、予算を流す特定事業推進費を新設し、県と市町村の関係にくさびを打ち込んだ。

 基地政策に理解を示す自治体には手厚い予算措置を講じ、反対する自治体に対しては予算を削ったり、事業の採択を遅らせたりして厳しく対処する。

 非常に危ういのは、本土でも県内でも、こうした「論理」を当然のように受け止める風潮が広がりつつあることだ。

 県民投票によって民意が示されたにもかかわらず、基地政策を受け入れなければ振興策で政府の支援が得られないというのは、差別以外のなにものでもない。

■    ■

 2年後の2022年、沖縄は施政権返還50年という大きな節目を迎える。現在、実施されている「沖縄21世紀ビジョン基本計画」は21年度までの計画だ。

 振興策をはじめ各分野の総括作業が必要である。検証の上に立って、将来を見すえた、真に沖縄の人々のためになる計画が求められる。

 河野氏には、その面での突破力を期待したい。

 コロナ禍で疲弊した経済を再生し、貧困対策を強化すること。自立型経済を構築し、依存体質から抜け出すことが急務である。

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