同性カップルらを「パートナーシップ」として公認する制度が、全国の自治体で広がっている。支援団体「同性パートナーシップ・ネット」(東京)の調査によると、全国67市区町が導入し、総人口の3割超(計約4025万人)が住む自治体をカバーする見込みという。都道府県レベルでは茨城、大阪の2府県が導入し、県内でも那覇市が取り入れている。

 社会を取り巻くさまざまな分野でダイバーシティ(多様性)への理解が深まり、認知度が高まる中、住民生活に身近な自治体での浸透がうかがえる。

 パートナーシップ制度は、1989年にデンマークで初めて法制化。日本では2015年に東京都の渋谷区と世田谷区が導入した。導入予定か検討中の自治体も多い。

 民間企業でも社内規定を見直し、同性のパートナーを「配偶者」とみなす事例が増えつつある。結婚祝い金や慶弔休暇といった福利厚生が受けられる。

 性的少数者を支援するNPO法人などの調査によれば、パートナーシップ認定を受けたカップルは6月末時点で1052組。今後、さらに増えていくだろう。公営住宅への入居や生命保険の受取人指定、携帯電話の家族割の適用など、さまざまなメリットを享受できる。

 官民で支援が広まる中、肝心の政府の動きは鈍い。社会の変化を踏まえた権利保障は、国に課せられた役割の一つ。あるべき支援策を検討する時期に来ている。

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 実務的な制度で適用できる範囲が広がる半面、法的な権利に関しては依然、制約がある。例えば、パートナーの死亡時に遺産相続を受けられなかったり、子どもを育てる共同親権を行使できなかったりするなど、改善を望む声は根強い。

 厚生労働省付属の国立社会保障・人口問題研究所が2年前、既婚女性約6千人を対象に実施した調査で、同性婚を法律で認めるべきだと答えた人がほぼ7割を占めた。30代以下は9割前後と賛成する人が多かった。

 性的指向や性自認を含めて、多様化する生き方の尊重は、今や社会の中で定着していると言っていい。生きづらさを訴え、法的な権利の保障を求める性的少数者の主張に真摯(しんし)に向き合い、新たな制度設計の議論を始めることは、時代の要請と捉えるべきだ。同性婚の議論も避けては通れない。

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 パートナーシップ制度は、那覇市が県内で先駆けて16年に導入し、19年度までに33組が認められた。一方、性の多様性の尊重をうたう条例に意欲をみせる宜野湾市と浦添市は実現に至っていない。いずれも、反対論の背景に、男女の婚姻によって子どもを産み育てるという「伝統的家族観」があるという。

 どう社会と関わり合いを持ち、誰と生活を共にするか。人が自分らしく生きる上で最も重要な事柄の一つであり、基本的人権の保障にも関わる。同性カップルの権利を守り、誰もが生きやすい社会を目指したい。