【那覇】目立つ看板もなく、ひっそりと開く自転車修理店が市真嘉比の国道330号沿いにある。開業して約30年の「チャリンコハウス」。92歳の店主・中村茂さんは、修理を頼むお客さんが自宅のインターホンを鳴らせば自宅階下の3坪ほどの事務所に下り、いつ何時でも対応する。全ては利用客の「安全のため」と盆も正月もなく精を出す。 (社会部・勝浦大輔)

丁寧に自転車を整備するチャリンコハウス店主の中村茂さん=23日、那覇市真嘉比

 座間味村慶留間島出身の中村さんは、終戦後の18歳ごろ、職を求めて本島に移り、船乗りの操機長として琉球海運で定年まで勤めた。機関部を担当したとあって、機械いじりや工作が得意。じっとしていられない性格もあり、定年後も「何かしていないと落ち着かない」と、平成元年の1989年、真嘉比周辺にほとんどなかったという自転車屋を始めた。

 開業当時は自転車の販売もしたが、区画整理のための一時移転から当初の場所に戻る13年ほど前、年齢も考慮し、現在の修理専門店となった。

 パンク修理の依頼が主だが、大抵のことには対応できるという。客層は子どもからお年寄りまで幅広く、値段も安い。サービスで、ブレーキ回りからサドルの位置まで調整し、さびを落とすなど状態を良くすることを欠かさない。利用客が差し入れを持ってくることも多く、手作りみそを持ってきた人もいた。

 子どもが通学途中の午前8時にパンクした自転車を引いて立ち寄ることも。ちゃちゃっと直し、手持ちのお金がなければ「今度持っておいで」と見送る。娘の留美子さん(65)は「ほとんどボランティアのようなもの。父は全然気にしていないみたい」と笑う。

 耳が遠くなったこと以外は、健康そのものという中村さん。買い物や通院など、外出はもっぱら自転車で出掛けるつわものだ。店を閉じる予定は当面ない、と言い「元気なうちは続けるよ。まだまだ大丈夫でしょう」と自信をのぞかせた。

 チャリンコハウスは真嘉比1の10の8の1階。電話098(887)4374。

(写図説明)丁寧に自転車を整備するチャリンコハウス店主の中村茂さん=23日、那覇市真嘉比