社説

社説[玉城知事就任2年]時代を開く将来像示せ

2020年10月4日 05:00

 玉城デニー知事が就任してきょうで2年になる。

 米軍人を父に持つ「基地の街のロック少年」という経歴が注目され、親しみやすい人柄とも相まって旋風を巻き起こした。

 何よりも大きかったのは、翁長雄志前知事が命と引き換えに築いた政治的遺産を引き継いだことである。

 2019年2月、新基地建設を巡る県民投票を成功させ、余勢をかって「オール沖縄」勢力が4月の衆院3区補選、7月の参院選に連勝した。滑り出しはいたって順調だった。

 だが勝利の余韻もつかの間、予期しない重大事態が相次いだ。首里城火災、33年ぶりに発生した豚熱、新型コロナウイルスの感染拡大。

 緊急事態への対応は適切だっただろうか。

 2年間を振り返って玉城知事は「なんとか50点」と語るが、臨機応変の対応力や指導力に不安を残す結果となったことは確かだ。

 コロナによって打撃を受けた県経済の再生は、優先的に取り組むべき極めて大きな課題である。

 コロナ禍で観光業界は大打撃を受け、農・漁業にまで影響が拡大した。解雇や雇い止め、売り上げ減少による休業や店じまいが相次いでいる。

 県は9月、本年度の県内の経済損失が約6482億円に上るとの推計を明らかにした。沖縄社会の「困窮化」が急速に進んでいる。

 残る2年の任期中に目に見える成果を上げなければ求心力の低下は避けられない。期待値が高いと、実現できなかったときの反動も大きい。

■    ■

 政治の側面からこの2年を振り返ったとき、いたるところで目につくのは、「オール沖縄」の結束のほころびである。

 6月の県議選は与党が25議席を確保し、野党・中立の23議席をかろうじて上回ったものの、与党は4人の現職を失い、議席を減らした。

 選挙の際に生じた一部与党とのぎくしゃくした関係は、政策面でも表面化している。

 那覇港湾施設(那覇軍港)の浦添移設について玉城知事は、容認する姿勢を明らかにしたが、与党の中には反対の声が根強い。

 「オール沖縄」の象徴的な存在だった金秀グループの呉屋守將会長が知事の後援会長を辞任したことは、玉城知事や「オール沖縄」にとって後ろ盾を失ったようなもので、その影響は大きい。

 辺野古反対の旗印の下に結集した「オール沖縄」に、一時期のような勢いがなくなっている。

■    ■

 2年後の22年は「復帰50年」の節目の年であると同時に、新しい沖縄振興計画がスタートする重要な年でもある。

 22年はまた、知事選と参院選、那覇市長選など七つの市長選が行われる政治決戦の年でもある。

 沖縄の将来像をどのようにデザインするか。玉城知事は、明確な将来ビジョンを県民に示さなければならない。

 辺野古の新基地建設問題についても国に対話を求めるだけでなく、問題を政治争点化するための具体的な取り組みが必要だ。

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