社説

[社説]コロナとインフル 同時流行への備え急げ

2020年10月5日 07:08

 新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、これから冬に向けて懸念されるのは季節性インフルエンザとの同時流行だ。

 インフルエンザとコロナ感染症は症状が似ているため見分けがつきにくいという。同時に流行すれば地域医療が混乱しかねず、早めの対策が求められている。

 1日からインフルエンザの予防接種が全国で始まった。原則として65歳以上の高齢者らが優先される。次いで26日から医療従事者や持病のある人、妊婦、小学2年生までの子どもが優先的に受けられる予定だ。

 インフルエンザは毎年、国内で1千万人が感染するとされている。幸い今年は現時点で感染者数は例年よりかなり少ない。コロナ対策でマスクや手洗いなどが徹底されていることに加え、国内外で人の移動が制限されている影響が大きいようだ。

 ただ、政府は1日、全ての国からのビジネス関係者や留学生、技能実習生ら中長期滞在者の入国を解禁した。観光支援事業「Go To トラベル」の対象に東京発着旅行が追加されるなど、人の移動は確実に増えている。

 厚生労働省によると、インフルエンザのワクチンは約6300万人分確保できる見込みというが、接種希望者は例年より多いとみられる。

 重症化リスクの高い人たちを優先しながら、それ以外の希望者も円滑に受けられるよう、行政と医療機関が連携して積極的な情報発信に努めてほしい。

■    ■

 同時流行の発生に備え、厚労省は先月、発熱症状が出た場合の受診の手続きを変更すると発表した。

 まず近くの診療所やかかりつけ医に電話で相談し、そこがコロナに対応していればそのまま検査や診療を受ける。対応できない場合は診療可能な医療機関を紹介してもらうという。

 厚労省は今月中に体制を整えるよう都道府県に通知しているが、診療所などには負担が大きく対応が難しい場合もある。どこに電話したらいいのか分からない、と患者が混乱しないように周知を徹底する必要もある。

 県内では今もコロナの新規感染者が2桁台となる日が続く。療養中の患者は200人を超えている。

 夏場には医療体制が逼(ひっ)迫(ぱく)し全国から看護師らの派遣を受ける事態となったことは記憶に新しい。感染急拡大に療養ホテルの確保が追い付かなかったり、院内感染も相次いだりした。これらの反省に立ち冬に備える必要がある。

■    ■

 治療薬への期待が高まる中コロナの治療薬候補「アビガン」に対し、政府が異例のスピード審査の筋書きを描いていることが気になる。通常は申請から承認まで1年程度かかるものが、審査を3週間で終えて11月に承認する方向で計画を立てているという。

 日程や結論が決まっていれば審査が緩くなり、副作用の見落としや有効性の判断の誤りにつながりかねない。承認ありきではなく、科学的な手続きに基づき丁寧に審査してもらいたい。

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