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「私は罪なの? 国の政策でしょ」コロナ給付金 “危ない橋”を渡る主婦 罪悪感も

2020年10月6日 10:41

 新型コロナウイルスを巡る「持続化給付金」の受給問題は、県内の主婦層にも広がっている。沖縄タイムスの取材に応じた2人の60代主婦は、マルチ商法の副業を基に「個人事業主」を名乗り100万円を受給した。1人は副業を理由に正当性を主張するが、別の1人は「やはり、もらえないお金だったのかも。家族にも言えず、どうしたらいいのか」と罪悪感をにじませる。怪しい話と思いながらも、親しい友人に誘われて「危ない橋」を渡る現状が垣間見える。(社会部・銘苅一哲、比嘉太一)

主婦らの持続化給付金の不正受給の流れ

■友人に誘われ

 主婦のAさんは生活用品を扱うマルチ商法の会員として活動し、仲間の1人に持続化給付金の受給を勧誘された。「自分は受給できないんじゃないか」と警戒したが、勧誘してきた知人の「大丈夫だから」という言葉を信じた。

 Aさんは知人に3万円を支払い、資産運用や融資を専門とするコンサルタント会社を紹介された。必要な書類をそろえて会社に提出すると100万円が自分の口座に振り込まれ、提示された手数料の10万円をコンサルタント会社に振り込んだ。

 コンサルタント会社が、自身を「個人事業主」としてどう申請したかについては「サービス業かな? よく分からない」という。

 Aさんはマルチ商法で月に1~2万円の利益があった。従来の年間利益を上回る100万円の受給をどう考えるか記者に問われ「テレビでもよく不正受給のニュースを見る。だけど、私は罪を犯したの? 給付金はコロナで打撃を受けた経済を潤わせる安倍首相の政策でしょう」と訴える。

■借金の返済に

 一方で、別の主婦Bさんは「(不正受給問題が)新聞とかでたくさん報道され、心配になっている」と告白する。

 紹介されたマルチ商法の利益は月に数百円程度。Aさんと同じ方法で給付金申請の代行を依頼し、100万円を手にした。

 夫と2人の生活。年金でやりくりしている。100万円から勧誘料、手数料を差し引いた87万円の多くは借金の返済に充てた。「100万円を返すとしても、また借金をしないといけない。夫に知られたら…」と目を潤ませた。

■マルチ商法が入りやすい沖縄

三宅俊司さん(消費者市民ネット沖縄理事長・弁護士)の話

 マルチ商法は最初に契約した上の人(営業店)がもうかり、後から入った末端の人(販売人)たちは、もうからない仕組みとなっている。末端の人たちが、使わない商品の在庫を抱えて支払いが滞ってしまっていることが多く、それを持続化給付金で補うために不正に利用させたとなれば、マルチ商法の上にいる人たちの行為はかなり悪質だ。

 沖縄は親族や友人関係が濃い地域で、マルチ商法が入りやすい。人間関係を壊したくないが故に断りにくい、逃げ切れない人が多くいるのも特徴だ。今回のように、主婦がマルチ商法の仲間を勧誘するのはよくある話。営業店から「あなたも事業者だから問題ない」と言われれば、それをうのみにしてしまう人たちが多くいるのだろう。

 不正受給ではないか、と疑わしい誘いに気付いた時には、きちんと断る勇気も必要だ。

<情報を募ります>

沖縄タイムスは新型コロナウイルスに関する持続化給付金など、公的支援制度の不正受給問題の取材を進めています。不正受給に関する情報を広く募ります。

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