原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡る動きが北海道で相次いだ。

 選定の第1段階となる「文献調査」に、道西部の寿都(すっつ)町が応募した。約40キロ離れた神恵内(かもえない)村も国からの協力申し入れを受諾した。それぞれ調査へ向けた手続きが進むことになった。

 寿都町の動向が明らかになったのは約2カ月前、神恵内村での動きが表面化したのはわずかひと月前だ。反対の声もあり合意形成が図られたとは思えない。首長の判断はあまりにも性急だ。

 寿都町では応募の是非を問う住民投票を目指し署名活動を行った。民意をすくいあげる住民投票を実施すべきだ。

 国は核のごみを地下300メートルより深い岩盤に埋める「地層処分」を計画している。

 その場所を決めるのに3段階で絞り込む。第1段階の文献調査は、約2年かけ地質図や学術論文などを調べ、処分場に適さない場所の有無を分析するという。

 2町村の決断の背景には、文献調査を受け入れた自治体に国から2年間で最大20億円支給される交付金の存在がある。人口減や厳しい財政事情を抱えており、交付金を活用して打開したい考えだ。

 過疎化や経済の疲弊に悩む地方の自治体は少なくない。多額の交付金をちらつかせ調査へ誘導する国の手法は、基地を抱える沖縄の自治体に対する姿勢にも通じる。

 鈴木直道道知事が批判したように「札束で頬をたたくやり方」だ。強行すれば地域は分断され対立は深まる。

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 今後の調査の進め方にも懸念がある。

 国の計画では、第2段階の「概要調査」では約4年かけてボーリングなどを行う。最後の「精密調査」では地下に施設を造って14年程度調査し、建設の可否を判断するという。

 国は概要調査以降の手続きに進む際、知事や市町村長の意見を聞き「十分に尊重しなければならない」としている。ただ、拒否できるかは不明瞭な表現だ。「交付金をもらい引き返せなくなる」との声が住民から既に出ている。

 20年に及ぶ調査の間に地域の事情が変わることは十分に考えられる。各段階へ進むにはその都度、地元の同意を必要とし反対の場合は中止すると明文化すべきだ。

 核のごみの放射線量が十分に下がるまでは数万年以上かかるという。地震や火山噴火などで科学的に不明な点は多い。地震の頻発する日本で地層処分の安全性が保てるのか住民の不安はもっともだ。

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 原発を動かすと核のごみが出るのは避けられない。だが、処分場が決まらず「トイレのないマンション」と批判されてきた。

 たまる一方のごみに国は危機感を募らせてきたが、2町村の調査受け入れを機に応募が広がるよう期待を示す。

 ただ、核のごみを巡る国民的な議論は依然として進んでいない。行き詰まりを見せている国の再処理政策を含め、推進ありきでない議論を求めたい。