バイリンガル紙芝居師 山田一成さん(41)=那覇市出身

「紙芝居で元気と勇気を与えたい」と話す山田一成さん

 元お笑い芸人のバイリンガル紙芝居師。商業施設や学校のイベント出演、企業PRなど国内外で活動する。股関節に障がいのある紙芝居師かみはるさん(31)とのコンビでパラリンピックの魅力を広める新たな紙芝居を追求している。

 「なんくるないさ」の精神で壁を乗り越えてきた。那覇高校卒業後、軽い気持ちでカナダの大学に留学。当初、英語は理解できなかったが必死に学び2年時にマルチメディア学部を専攻した。4年時に地元テレビ局でリポーターを務め、食レポやロッククライミング体験など体を張って笑いを取った。

 帰国後、テレビの番組制作会社で働いたが「裏方ではなく表に出たい」と吉本総合芸能学院(NSC東京)8期生に。2002年にお笑いコンビ「ブルックリン」を結成したが活動7年で解散した。

 転機は沖縄で仕事を探そうと思っていた時に訪れた。「ネオ紙芝居」の旗の下に結集した「漫画家学会」の正社員募集に応募し、紙芝居師オーディションに合格。芸名「ヤムちゃん」や覆面レスラー「ミナクルマスク」としてアクションや楽器演奏ありのショー形式の新しい紙芝居を展開している。

 企業や団体の要望に応じた紙芝居のストーリーも作る。16年から弟子のかみはるさんとパラリンピック選手を取材し、紙芝居で競技のルールも伝える。渋谷区と提携しオリジナル紙芝居を制作。都から東京五輪・パラリンピック教育支援プログラムにも選定された。

 かみはるさんは、つえを使ったパフォーマンスで観客の視線をくぎ付けにし、山田さんの話術で会場を盛り上げる。絶妙な掛け合いに会場は笑いに包まれる。印象に残っているのはオランダでの公演。「人魚のコスプレをした車いすの女性が、紙芝居を見てノリノリで踊っていた。障がいを隠さずに、誰よりも目立って楽しそうに踊っていた。これが“壁のない状態”だと思った」と話す。

 娘のひまりちゃん(6)にもかみはるさんと同じ症状が股関節にあった。「こうした偶然を経験し、僕はこの病気の現状を伝えることが使命ではないかと思うようになった」。17年には初級障がい者スポーツ指導員免許も取得した。

 「周囲を和ませ、笑いや喜び、勇気を与える紙芝居師でありたい」。これまでの経験があってこその「なんくるないさ」の精神で、紙芝居の可能性を広げていく。

(東京報道部・吉川毅)=連載「アクロス沖縄」

 やまだ・かずなり 1979年那覇市生まれ。那覇高校卒業後、カナダに留学。お笑い芸人を経て、2009年に紙芝居師として活動スタート。東京アナウンス学院で紙芝居講師も務める。今年5月からYouTubeで娘と出演する「ギャー!!ギャー!!Kids LAND」を配信。東京オリンピックの聖火ランナーにも選出されている。出演依頼の問い合わせなどは漫画家学会、03(6419)1875。