名護市辺野古の新基地建設を巡り、沖縄防衛局が提出した埋め立て設計変更承認申請に対し、1万8904件(速報値)の意見書が県に寄せられた。意見書は名護市や県内にとどまらず、県外、国外にも及ぶ。2013年の埋め立て承認申請時の約6倍に上り、新基地建設問題への関心の高さを示すものだ。

 軟弱地盤の改良工事に向けた今回の申請で特に見逃せない点の一つが、土砂(岩ズリ)の県内調達量と地域の拡大である。

 埋め立て土砂の総量は、2017万6千立方メートルで、東京ドームの約16・3個分に相当する。県内調達可能量は、当初の670万立方メートルから4476万3千立方メートルへと約6・7倍に増えた。県内の他の工事への供給が逼迫(ひっぱく)する恐れもある。

 採取場所は、現行計画の本部町、名護市、国頭村に加え、うるま市(宮城島)、糸満市、八重瀬町、石垣市宮古島市、南大東村を明記し、沖縄全域9市町村への変更を申請した。当初計画では土砂の7割を県外から調達する予定だったが、設計変更に伴い防衛省は「県内でも調達可能」とした。外来種の侵入を防止する県外土砂規制条例の適用を回避する狙いが透けて見える。

 埋め立て土砂の採取が、北部から広がることに伴い、ダンプによる渋滞や粉じん公害が県内各地に拡大する。

 大規模な採掘により、沖縄の自然や風景が変わってしまうのではないか。環境破壊が地域社会へ及ぼす影響を危惧する。

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 別の大きな懸念もある。

 変更申請で、県内調達可能量の7割にあたる3159万6千立方メートルの採取場所とされたのが糸満市と八重瀬町だ。

 南部は沖縄戦の激戦地で多くの住民が追いつめられ、逃げ場を失い、命を落とした。

 遺骨を遺族に返す活動をしているボランティア「ガマフヤー」の具志堅隆松代表は、

南部地域からの岩ズリの採取に反対の声を上げている。

 骨は石灰岩の隙間や流出した土砂に覆われ、見た目には岩と見分けがつきにくく、触ってみなければ分からないという。「必要なのは遺骨収集」であり「遺骨を岩ズリと一緒に軍事基地を造るために使うなど言語道断」と憤る。

 県によると、沖縄戦の戦没者のうち、2849柱がいまだ見つかっていない。

 遺骨収集を「国の責務」とする戦没者遺骨収集推進法が2016年に施行された。南部からの大量の土砂採取は、これにも逆行し、県民感情としても容認できない。

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 新基地建設を巡る埋め立て用の岩ズリを巡っては、1社のみの見積もりで契約され、高価格で購入されるなど、不透明さが指摘されてきた。

 軟弱地盤の改良工事によって工費は当初の約2・7倍の約9300億円、工期も12年に延び計画どおり進んだとしても普天間飛行場の返還は30年代半ばに大幅にずれ込む。変更申請では軟弱地盤の具体的な記述は乏しく、環境への影響の説明も不十分だ。

 海だけでなく、山の破壊にもつながる設計変更は問題が山積している。