社説

[社説]コロナ下の修学旅行 安心の実績積み上げよ

2020年10月16日 05:00

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で止まっていた修学旅行が動きだした。

 東京の高校生総勢700人が最近、沖縄入りした。コロナ対応のため日程をずらして来県、4泊5日の予定を1日短縮した。ホテルは1室4人から1室3人に変更し、室内の「密」を避けるなどの対策を取って実施に踏み切った。迎えた観光関係者は安(あん)堵(ど)したことだろう。

 沖縄観光にとり修学旅行は重要な位置を占める。夏場に偏る観光客の平準化につながり、ホテルやバス、観光施設などの経営安定に寄与するからだ。その後の卒業旅行やリゾートウエディング、家族旅行などでの再訪も期待できる。

 安心安全な修学旅行先としての沖縄をアピールしようと、県と沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)は「沖縄修学旅行 防疫観光ガイドライン」を9月に策定した。航空機やバス、ホテル、観光施設、土産店などでの対策を示している。OCVBは事業者の取り組みを動画で発信中だ。小まめな換気や消毒、一定の距離を保つ対策などを紹介している。

 10月から12月までは修学旅行シーズンを迎える。来年1月以降も、海外を行き先にしていた学校からの振り替えなどがあるという。

 これから訪れる予定の学校は沖縄の感染防止策を注視しているはずだ。効果がなければ中止や延期の恐れもある。

 各事業者にはガイドラインを順守し対策を徹底してほしい。安全な修学旅行を一つずつ積み重ねていくことで、学校や保護者らの信頼が得られ次年度以降にもつながる。

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 2019年度は2415校から計41万人の修学旅行生が沖縄を訪れた。一部再開の動きもあるが、本年度は学校数、人数ともその半数近くになる見通しという。深刻な事態だ。

 移動中や旅先での感染が懸念され団体旅行が控えられる状況は今も続く。修学旅行を中止や延期、あるいは行き先を近場に変更する学校が全国で相次いでいる。

 沖縄への修学旅行は例年、高校が7割近く、中学校は3割を占める。数百人規模となることもあり実施は難しいと判断した学校が多いようだ。

 01年に米同時多発テロが起きた際、「風評被害」で沖縄の修学旅行が大きく落ち込み、観光業が打撃を受けたことが思い出される。

 県は今後、貸し切りバスを活用した県内旅行の旅費の一部を助成する事業を始めるという。県外からの修学旅行も積極的に支援してほしい。

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 コロナ禍は県内の子どもたちの修学旅行にも影響を及ぼしている。県教育庁によると8月末時点で、中止した小学校は4校、中学校は5校あった。延期している小中学校は85校ある。

 修学旅行は教育的な効果が高く、子どもたちにとって学校生活の思い出となる大切な行事だ。遠方へ行くのが厳しければ、地元の史跡などを訪ね歴史や文化を深く知るのも新鮮に感じられるだろう。

 学校には感染対策を工夫しできるだけ実施する方向で検討してほしい。

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