厚生労働省が、「ヤングケアラー」に関する初の全国調査に乗り出す。実態がほとんど分かっていない問題である。小さな体に大きな責任を負う子どもたちの悩みを、きちんと受け止めてほしい。

 病気や障がいなどのある家族を介護する18歳未満の子どもを、そう呼んでいる。世話をするのは親のほか、祖父母、きょうだいなどさまざまだ。

 ヤングケアラーという言葉の認知度は高くない。2年前、市町村の要保護児童対策地域協議会に対し行ったアンケートで、意味の理解は3割弱にとどまった。

 しかし2017年の就業構造基本調査によると、15~29歳で介護を担う人は約21万人に上る。16年に大阪府の公立高で研究者が実施した調査では、約20人に1人が家族の介護にあたっていた。軽視できない数である。

 にもかかわらず実態把握が進まないのは、相談相手がいなかったり、どこに相談していいのか分からず、「助けて」の声が上げにくいからだろう。核家族化や人間関係の希薄化に加え、「家族が支えて当たり前」といった根強い風潮も問題を見えにくくしている。

 ヤングケアラーは介護のほか、家事や幼いきょうだいの世話、金銭管理など本来は大人が担うような仕事を引き受け、問題に対処している。

 その重い負担は学業や進路にも影響し、可能性や選択の幅を狭める。学生生活を楽しめないばかりか、進学の道が閉ざされ、将来の夢を諦めざるを得ないことも少なくない。

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 国に先駆けて支援に乗り出しているのは、住民に近い自治体だ。

 埼玉県は3月、全国で初めて、家族を介護する人を支える「ケアラー支援条例」を施行した。

 特にヤングケアラーについては「教育の機会を確保し、健やかな成長と自立が図られるように」と明記する。条例を受け高校生を対象にした調査も実施。本年度中に支援計画を取りまとめる。 

 一方、岡山市では4月、介護サービスの拡充を要請した難病の男性に対し、同居する高校生の娘による介護で補うよう求める出来事があった。

 最終的にサービス増が認められたものの、家族介護を期待する行政の意識が透けて見えた対応である。

 介護保険制度における介護者支援の視点は弱い。子どもが育つ権利や教育を受ける権利を守るには、自治体の積極的関与が必要である。

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 直近の沖縄県ひとり親実態調査で、祖父母が孫を育てる養育者世帯が一定数いることが明らかになった。その中にもしかするとヤングケアラーがいるかもしれない。

 表面化しにくい家族介護の状況をつかむには、子どもと日々接する学校の関わりが鍵となる。

 厚労省は教育委員会を通じて広く実態を把握し、相談しやすい環境や負担軽減策を検討する考えだ。求められるのは教育と福祉の連携である。県も調査を進め、必要な支援につなげてもらいたい。