社説

社説[コロナと大学]学び止めない支援長く

2020年10月20日 09:47

 国際労働機関(ILO)がこの夏、発表した報告書は「ロックダウン世代」を生まないよう警鐘を鳴らすものだった。

 新型コロナウイルスの影響で学業が中断され、就職の機会が奪われ、将来にわたり不利益を引きずるおそれのある若い世代をそう呼び、各国政府に支援を促したのだ。

 「若者の危機」は日本も例外ではない。

 全国の国公私立大、短大では後期の授業がスタートしたが、依然としてオンラインによる遠隔授業を主としているところが多い。

 文部科学省の調査によると、全面的な対面授業の再開は後期も2割以下にとどまっている。対面と遠隔を併用すると答えた大学でも、授業の半分以上は遠隔だ。対面は実験や実技が中心だという。

 大学生は行動範囲が広く、飲み会などの機会も多いため、感染リスクの高さやクラスター(感染者集団)発生を警戒しているのだろう。

 ただ、小中高校がとうに再開し、「GoToトラベル」も始まる中、「なぜ大学だけ厳しいのか」の声は当然上がる。

 オンライン中心の授業に「プリントを配信する程度」「課題が多すぎる」「やる気を維持するのが難しい」といった声が広がっているのも気になる。

 人との関わりの中で学ぶことは教育の重要な要素である。不安を抱える学生のメンタルケアも必要だ。

 大学には学習面だけでなく生活面も含めた多面的な支援が求められる。

■    ■

 新型コロナによる経済的打撃は、学業継続の不安にもつながっている。

 本紙が県内全8大学を調べたところ(7大学が回答)、コロナの影響を理由に、休学を届け出た学生が前期・後期合わせて延べ76人、退学を届け出た学生が12人いたことが分かった。

 親の収入減のほか、アルバイトがなくなったり勤務時間を減らされたりし、学費が工面できなくなったケースが多いという。県民所得が全国最下位の沖縄で、特にその影響は深刻だといえる。 

 困窮する学生らに1人当たり10万円、特に困窮したケースでは20万円を配る学生支援緊急給付金が、政府の本年度補正予算に盛り込まれている。

 ただ学生の苦境は後期も続く。さらに影響は支援メニューの少ない中間所得層にも及んでいる。

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 手をこまねいてはいられない課題である。

 県内でも一部の大学で、学費の延納や分納を認めるほか、給付金の支給、パソコンやWi-Fiルーターの貸し出しといった支援が広がっている。

 今後は感染対策を徹底した上で、対面授業拡大に向けた取り組みも加速させてもらいたい。  

 先のILO報告では、厳しい環境にある若者ほど大きな影響を受けていることが浮き彫りになった。

 若者の未来を奪わないよう、国も追加の支援策を打ち出すべきだ。

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