沖縄県水産課は19日、大宜味村にあるバナメイエビ養殖場で、甲殻類の伝染病「急性肝膵臓(すいぞう)壊死(えし)症(AHPND)」の発生が確認され、タイから輸入した稚エビ約10万匹のうち、9万8千匹が死んだと発表した。国内で発生が確認されたのは初めて。原因は稚エビに、細菌が入っていた可能性があるとみられている。AHPNDは持続的養殖生産確保法で、まん延した場合に重大な損害を与える特定疾病に指定されている。玉城デニー知事は「クルマエビ養殖に被害が及ばないよう防疫措置に取り組んでいく」とコメントした。

上は正常時のバナメイエビ。下のバナメイエビはAHPNDにかかり、上部の肝膵臓部が白色化している(東京海洋大学の廣野育成博士提供)

 県は19日、養殖場で消毒作業を実施した。20日には生き残った2千匹を焼却処分。飼育水は消毒剤が残らないように中和して海に排水する。AHPNDは人への感染事例報告はない。ただバナメイエビは県内で養殖が盛んなクルマエビと近縁種で、まん延すれば県内養殖業に甚大な被害を与える。

 県内には離島を含め、15カ所のクルマエビの養殖場があるが、今回AHPNDが発生した事業者だけがバナメイエビを養殖していた。

 また県は、特定疾患が疑われた14日からエビの移動を禁止しており、感染したエビが市場に出回ることはないと説明。また、他の業者の出入りもなく、現時点で他の養殖場へ広がるリスクはないと確認していると説明した。

 この養殖場は8月9日、稚エビ約10万匹を輸入し、養殖を始めた。しかし県が再三催促しても月に一回義務付けている状況報告がなかったため10月8日に立ち入ったところ、大量死が判明。エビは9月上旬には死に始めたが「事業を始めたばかりで、病気より技術を疑った」という。

 県によると、バナメイエビは世界の養殖エビの約8割を占め、国内でも食用に多く流通している。県は今後、関係機関と対策会議を開いて再発防止対策を協議する方針。

■急性肝膵臓壊死症(AHPND)とは

 細菌(バクテリア)が原因で発生する甲殻類の疾病で、肝膵臓の白色化、萎縮(いしゅく)、硬化、外骨格の軟化などがみられる。主に稚エビがかかる疾病で、ヒトには感染しない。同一の養殖槽での飼育や、水を介して伝染するとみられ、致死率が高いのが特徴。

 持続的養殖生産確保法に特定疾病として定められており、まん延防止のため、都道府県知事はエビの移動の制限や禁止、焼却や埋却を命令することができる。