[家族のカタチ 里親家庭の今]

(資料写真)手をつなぐ

里親等委託率と登録里親数の推移

(資料写真)手をつなぐ 里親等委託率と登録里親数の推移

 さまざまな事情で実親と暮らせない子どもを家庭内で受け入れる「里親」の登録数が、2018年度末現在、県内で255世帯に上り、14年度からの5年間で65世帯増えていることが分かった。関心が高まった要因として支援現場から聞こえるのは、子どもの貧困問題で顕在化した厳しい家庭環境にある子どもたちの存在。ただし、実際に里子を里親家庭などに預ける「里親等委託率」は35%前後と伸び悩む。県はさらなる里親の掘り起こしと、委託時のミスマッチ解消に取り組む方針だ。10月は厚生労働省が制度への理解を呼び掛ける里親月間。(学芸部・伊禮由紀子)

 県によると、虐待や経済的理由などで実親と暮らせない子どもは県内に496人(18年度末現在)。里親委託率は34・7%で全国平均の20・5%を上回るが、7割弱の324人が児童養護施設や乳児院に入所している。

 子どもの愛着形成や健全な発育には家庭的な環境での養育が必要とされ、国は16年の児童福祉法改正を受けて里親委託の推進を明確化。県も19年度末に「社会的養育推進計画」を策定し、29年度までに里親委託率を40%まで引き上げる数値目標を初めて示した。

 コザ児童相談所の後野哲彦所長は「子どもの貧困問題がクローズアップされたことで、自分にできることとして里親を意識する人が増えていると感じる」と話す。

 課題もある。里親委託が望ましい子どもでも実親の同意が得られないケースも少なくない。「里親という言葉に、実親の大多数が『自分の子どもではなくなってしまう』というイメージを抱き、里親委託を提案しても『施設入所なら同意する』ということが多い」と後野所長。親元に帰るまでの一定期間を預かる「養育里親」の正しい制度周知が必要とした。

 さらに、里親の高齢化、家庭状況や心理的な相性などで里親と里子のマッチングが不調になる場合もある。実際に、18年度に県内で里親登録をしている255世帯のうち里子を迎えているのは105世帯。県青少年・子ども家庭課は「里親委託には数日から数カ月程度の短期や、数年単位の長期預かりなど多様な関わり方があり、受託が可能な里親を幅広く掘り起こし、支援する必要がある」としている。

[ことば]里親制度とは

 (1)実親の元に帰るまでの間など一定期間預かる養育里親(2)法的に親子関係となる養子縁組を希望する養子縁組里親(3)虐待など専門のケアが必要な子に対応する専門里親(4)祖父母などの親族が育てる親族里親-がある。研修や家庭訪問を受け、県の審査を経て登録となる。養育里親の場合、1人目で月額8万6千円、2人目以降4万3千円の手当がある。生活費や教育費などは別に支給される。