東京証券取引所はシステム障害の再発防止策として、証券会社との連携を強化する協議会の設置を打ち出した。今回の障害では証券各社との事前の取り決めを欠いた結果、システムの再起動に踏み切れず、株式売買の終日停止へと傷口を広げた。トラブルは起きるものだという前提の下、復旧に向けた備えを万全にする対策が急務となる。

 東京証券取引所のシステム障害を巡るこれまでの経緯と当面の課題

 ▽落ち度

 1日の障害では、朝の機器故障後も証券会社から売買注文を受け付け、数千億円もの注文が積み上がったことが混乱に拍車を掛けた。システム復旧には再起動が必要だったが、それまでに受けた注文は一部がシステム内で成立扱いとなる一方、証券会社には成立を伝達できず「論理矛盾」(東証幹部)に陥った。

 東証が証券会社など24社に聞き取ったところ「再起動に対応できない」との答えがあり、終日停止を選択せざるを得なかった。

 東証は今回のような障害時の対処について証券会社と一体で行動手順を作成するに至らず、復旧時の注文処理や再注文の扱いの詳細なルールを定めていなかった。川井洋毅執行役員は19日の記者会見で「通常でない障害について、どう対応するかに落ち度があった」と反省の弁を述べた。

 ▽時代遅れ

 東証は決して止まらない市場運営を心掛ける「ネバーストップ」の旗印とは裏腹に、失態の連続だった。1999年に立会場を廃止して完全電子取引に移って以降、2005年、06年に立て続けに株式全銘柄の取引一時停止に陥り、12年、18年にも障害を起こした。

 12年、18年はいずれも証券会社側と障害発生時の運用改善を図ったはずだった。19日の会見で横山隆介常務執行役員は、18年の障害を受け多くの再発防止策を講じたと説明し「今までのことが無駄だとか的外れとは思わない」と強調した。

 だが、専門家の見方は異なる。名古屋工業大学の渡辺研司教授は「東証の『ネバーストップ』は、もはや時代遅れのスローガンだ。システムを止めても戻せる手順を定めておかなければならない」と述べ、障害発生に対する発想の根本的な転換を呼び掛ける。

 ▽進退論

 今後の焦点の一つは社内処分の行方だ。市場では、東証を傘下に置く日本取引所グループ(JPX)の次期トップ候補として期待する声もあった宮原幸一郎東証社長の進退が問われる局面になるとの見方もある。

 JPXは社外取締役による調査委員会を5日付で設置した。責任の所在を含めて調査し、社内処分に関する詰めの検討に入る。金融庁は東証の報告書を踏まえて行政処分の是非を判断する方針。東証に対して既に3回の業務改善命令を出しており、証券界では「看過できない問題だ」(業界団体関係者)と厳しい意見が多い。