大宜味村にあるバナメイエビ養殖場で甲殻類の伝染病「急性肝膵臓壊死(すいぞうえし)症(AHPND)」の発生が確認された。まん延した場合に重大な損害を与える特定疾病に指定されている病気で、国内で初の確認となった。

 この養殖場は8月にタイから稚エビ約10万匹を輸入、このうち9万8千匹が死んだ。稚エビに細菌が入っていた可能性があるとみられる。残る2千匹は焼却処分される。

 県や国には感染ルートの解明を進めるとともに、被害が広がらないよう防疫措置を徹底してもらいたい。

 AHPNDは細菌が原因で発生し、致死率の高さに特徴がある。2009年に中国で最初に報告され東南アジアや米国などで確認されている。

 懸念されるのは、県内で養殖が盛んなクルマエビへ被害が及ぶことだ。バナメイエビを県内で養殖しているのは今回確認された事業者だけだが、クルマエビの養殖場は離島を含め15カ所ある。

 県産クルマエビは19年に485トン生産され、全国一を誇る。高級贈答品としても人気が高く、出荷のピークを前に関係者は危機感を募らせている。風評被害も心配だ。

 県はクルマエビ事業者が希望すれば無料で検査に応じる方針を示す。バナメイエビ養殖場の排水に問題がなかったか、周辺海域の生物調査も検討しているという。

 丁寧な対応で消費者は安心できる。感染したエビは処分され市場に出回ることはない点や、AHPNDは人への感染事例報告がないことも含め積極的に発信してほしい。

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 感染が確認されたバナメイエビは、タイでPCR検査をクリアし、証明書に基づき輸入された。ただ、専門家によると感染初期では検査をくぐり抜けることがあるという。抽出調査のためチェックからもれた可能性もある。

 輸入後の半年間、事業者は定期的に異常の有無を都道府県に報告する義務がある。だが、県が再三催促しても報告書は提出されず県が立ち入り検査して大量死が判明した。

 事業者側は、養殖を始めたばかりで技術不足が原因だと思うと説明したという。伝染病に対する危機意識の薄さを感じる。県も報告書を催促しているが、立ち入りに踏み切ったのは養殖開始から2カ月も後だ。初動の遅れがあったのではないか。

 国は水際措置に問題はなかったとしているが、稚エビは日本の検疫を通過している。防疫体制に穴はなかったか。それぞれ検証して水際の強化につなげてもらいたい。

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 県内では今年1月、豚熱(CSF)の感染拡大で養豚業が打撃を受けた。

 この時は、食品残渣(ざんさ)(残飯)を餌として与える場合に必要な加熱処理が徹底されていないことが明らかになった。豚の不審死が相次いでいたにもかかわらず、県への通報が遅れた養豚場の対応も感染の拡大につながった。

 伝染病は対応が後手に回れば被害を広げる。事業者には衛生管理の徹底を求めたい。県も関係機関と連携し、注意喚起や指導に繰り返し努めてほしい。