■識者談話 廣野育生氏(東京海洋大教授)

塩屋湾

 バナメイエビが急性肝膵臓壊死症(AHPND)を引き起こすのは、原因となる病原細菌「ビブリオ パラヘモリティカス」が体内で一定量を超えた時だ。業者は別の養殖水槽から生き残ったエビ2千匹を掛け流し式の養殖水槽に移している。

 その水槽で大量死が起こらなくても、生き残ったエビの体内には病原細菌が残っている可能性が考えられる。掛け流し式の水槽は海水を取り込んで海に流す方式なので、病原細菌を含んだ海水が海に流出した可能性は十分にある。

 栄養成分が豊富な海域があればその場所で病原細菌は増殖することができる。そこに、甲殻類が生息していれば感染が拡大する恐れがある。クルマエビ養殖場に病原細菌が侵入して、感染が拡大するのが最も恐れる事態なので注意が必要だ。

 輸入稚エビによると考えられる特定疾病が国内で発症したことで、水際の防疫対策の課題が浮上している。現在、日本国内では目視による着地検査で発病の有無を確認しているが、国内でもPCR等の検査を取り入れるか、協議する必要があるのではないか。

(談、魚介類感染症学)