大宜味村のバナメイエビ養殖場で甲殻類の伝染病「急性肝膵臓(すいぞう)壊死(えし)症(AHPND)」が国内で初めて確認された問題で、沖縄県水産課は21日、養殖業者が飼育水を隣接する塩屋湾に排水していたと明らかにした。排水には病原細菌が含まれている可能性があり、海域に生息する甲殻類や天然生物、海水をくみ上げて養殖しているクルマエビなどへの影響が懸念されている。

甲殻類のPCR検査をする塩屋湾

 AHPNDはヒトに対して病原性を示さず、能登拓課長は「万が一食べても人体に影響はない」と冷静な対応を呼び掛けた。

 養殖業者は8月28日から9月13日にかけ、飼育水を塩屋湾に排水していた。20日に業者が提出した飼育状況報告書で明らかとなった。業者は排水をフィルターでろ過したが、消毒はしていないという。

 国内では養殖用水槽の水を海に流すこと自体は法的に問題はないが、病原細菌が含まれている可能性があり、県は排水量など詳細の確認を進めている。

 この養殖場ではタイから10万匹の稚エビを輸入し、飼育を始めたが、9万8千匹が死んだ。東京海洋大学の廣野育生教授(魚介類感染症学)は「業者が設置している水槽から病原細菌が海に流出した可能性は十分に考えられる」として、海域に生息する甲殻類に感染が広がらないか注意する必要があるとした。

 県は当初、最も近いクルマエビの養殖場と約10キロ離れており、感染が広がるリスクはないとの認識だった。しかし今回、排水の事実が明らかになったことで「(海水を常時入れ替えて飼育している)クルマエビ養殖業者に影響する可能性は否定できない」(同課長)との見解を示した。

 現時点でクルマエビなどの被害は確認されていないが、排水の事実を受け県水産海洋技術センターは、塩屋湾のエビのPCR検査を早ければ来週にも実施する。臓器から遺伝子を取り出して検査する。1回の検査で感染拡大を判断できないため、繰り返し調査して確度を高めていく方針だ。

 県では、2台のPCR検査用の機器で対応するが、追加購入を含めた予算措置を検討する。