社説

社説[新過疎法案]持続発展へ指定継続を

2020年10月23日 05:00

 過疎指定を継続させ、地域の持続的な発展を後押しすべきだ。

 過疎地域自立促進特別措置法(過疎法)が2021年3月末で期限を迎える。来年度からの新制度により、現在指定を受けている県内18市町村のうち、10町村が除外される可能性がある。

 新法案では、過疎地域の指定要件となる人口減少の基準年や人口減少率の幅が見直される方針が示されており、その要件を満たさなくなる市町村が出るためだ。

 観光需要などで人口減少が改善傾向にある市町村が「卒業団体」となれば、財政支援を受けられず、行政運営に支障が出る恐れがある。各政策で人口減を抑えた結果、対象外となるのは釈然としない。

 過疎法の指定を受けている自治体は自主財源に乏しく、財政状況が厳しい離島市町村が多く、行政サービスの低下を懸念する声も根強い。

 沖縄は米軍施政権下で、過疎法の適用が全国より10年遅れた経緯もある。全国一律の要件を当てはめるだけでは、地域の実情を反映させることはできないはずだ。

 新法案は、東京への一極集中を是正し、地方分散の流れによる受け皿となる過疎地域の役割を重視する。豊かな自然環境や安らぎのあるライフスタイルを持つ過疎地の「持続的発展」を理念に挙げる。

 趣旨を生かすには島しょ県の地理的不利性を踏まえ、それぞれの地域に即した支援が不可欠だ。議論を進めている与党・自民党は改正に向けて、地域の実態に合わせたきめ細かな議論をしてほしい。

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 過疎法は1970年に議員立法として10年間の期限付きで制定され、その後も10年ごとに衣替えした。現在、全市町村の48%に当たる817市町村が指定されている。

 指定市町村は過疎債を発行できる。借金返済の財源の7割を国が交付税で賄う仕組みだ。道路や施設整備などのハード、教育・医療・福祉などソフト面でも活用している。

 大宜味村では学習支援に充当、竹富町でも離島高校への就学支援などで利用している。南大東村も過疎債を使った公共事業のウエートが大きいという。指定除外の可能性があるいずれの担当者も「一般財源では厳しくなり、行政運営が滞るのではないか」と危機感を募らせる。

 一方、専門家からは事業執行の「選択と集中」の指摘も上がる。起債の3割は自治体の負担で、借金が重なれば財政圧迫につながるからだ。各事業の精査も必要だろう。

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 新法案は議員立法で来年1月の通常国会に提案され、4月の施行を目指す。

 県内の過疎地は地理的不利性から、物流・移動コストが割高で住民生活を圧迫し、行政運営の高コスト構造を抱える。そのため産業振興や医療、教育、福祉分野などで課題が残る。それを補うための国の十分な支援と理解は欠かせない。

 県はあらためて指定継続を関係機関に要請する。住民サービスを守り、地域の個性を生かした振興・発展につなげるビジョンを明確に示すことも求められる。

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