沖縄本島中部の20代女性が、2018年に出産した男児の父親でハワイ州に住む米兵の居場所を米国の「養育費回収システム」を使って特定し、月1080ドルの養育費を米兵が女性に支払うよう同州の家庭裁判所が今月認めたことが分かった。養育費の支払いは12月から始まる。

沖縄の米軍施設に掲げられた星条旗と国旗

 仲介した支援団体「ウーマンズプライド」のスミス美咲代表は「米軍関係者との養育費を巡る問題は泣き寝入りか特定に至らない場合が多いが、今回は父親の生年月日と名前だけで特定し、養育費を得られる極めてまれなケースだ」としている。

 女性によると、米兵は沖縄とハワイを行き来する仕事で17年夏から交際。翌年春に女性の妊娠を知ると米兵の態度が一変し、女性が不審に思い、会員制交流サイト(SNS)などで調べるとハワイに妻子がいることが判明。その後、連絡が取れなくなった。

 居場所特定のため県内の弁護士に相談したが「社会保障番号がないと対応できない」と断られた。その後、女性の相談を受けた米軍関係者との交際・結婚トラブルを数多く扱うスミス代表が女性への聞き取りやSNSなどの情報で米兵の所属部署を特定。上司に通知したが「裁判所の判決がないと動けない」などと対応しなかった。

 一方、米国には養育費の回収システムがあり、行政の担当課が非同居親の捜索と法的な親子関係の確定、養育費の回収まで対応する。女性はハワイ州に今年3月に申請し、州の公費でDNA鑑定して米兵が男児の父親と特定。州の家裁が申請翌月の4月分にさかのぼって支払いを命じた。

 女性は「今でも信じられない」と安堵(あんど)した様子。スミス代表は「そもそも日本は同様なシステムがない。子どもの生きる権利を守るため、米軍と日本の行政当局で支払いの手続きがスムーズにできるような制度を作るべきだ」と指摘した。(学芸部・伊禮由紀子、社会部・伊集竜太郎)

[ことば]

 米国の養育費回収システム 行政が申請を受け、支払いを求められた相手の名前や社会保障番号、住所などの情報を基に(1)非同居親の捜索(2)DNA鑑定による親子関係の確定(3)養育費の回収-などを行う制度。確定後の支払いに応じなければ、パスポートの発行禁止や運転免許の制限などに踏み込む強制力がある。