小説「カクテル・パーティー」で沖縄出身者として初の芥川賞を受賞した作家の大城立裕(おおしろ・たつひろ)さんが27日午前11時10分、老衰のため北中城村の病院で死去した。95歳だった。沖縄の伝統文化や歴史に根差した小説や戯曲、琉歌、組踊など幅広い分野で作品を数多く発表。戦後沖縄の文学活動をけん引した。

本紙連載企画「沖縄を語る 次代への伝言」で自身の経験談を語る大城立裕さん=2014年8月2日、那覇市内のホテル

笑顔で「芥川賞決定」の電話を取る大城立裕さん。文学仲間らが万歳で祝福した=1967年7月21日

本紙連載企画「沖縄を語る 次代への伝言」で自身の経験談を語る大城立裕さん=2014年8月2日、那覇市内のホテル 笑顔で「芥川賞決定」の電話を取る大城立裕さん。文学仲間らが万歳で祝福した=1967年7月21日

 告別式は30日午後2時~2時45分、浦添市伊奈武瀬1の7の1、いなんせ会館で。喪主は長男の達矢(たつや)さん。

 大城さんは1925年、中城村生まれ。戦時中に中国・東亜同文書院に留学。敗戦後の同学校閉鎖に伴い中退し、46年に帰郷。琉球政府で経済、文化関係の業務に従事した。

 公務と並行して文学作品を執筆。日本復帰前の67年には、日米間で揺れ動く沖縄の姿を象徴的に描いた小説「カクテル・パーティー」で、県内初の芥川賞を受賞した。

 2015年に短編小説「レールの向こう」で川端康成文学賞、19年に井上靖記念文化賞を受賞するなど晩年まで旺盛な活動を続けた。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設には反対の立場を鮮明にした。15年5月17日に開かれた辺野古移設に反対する「沖縄県民大会」では共同代表を務めた。

 1968年沖縄タイムス芸術選賞大賞、90年紫綬褒章、91年沖縄タイムス賞、96年勲四等旭日小綬章、2000年県功労者表彰などを受けた。

「優れた執筆活動」玉城デニー知事がコメント

 作家の大城立裕さんの死去を受け、玉城デニー知事は27日、「幅広い執筆活動で優れた成果を示された」とコメントを発表し、冥福を祈った。「沖縄出身者で初の芥川賞を受賞し、1968年の小説琉球処分では、琉球が沖縄県となるまでの歴史を克明に描くことで、沖縄とは何かを問い続けた」と評価した。