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再建される首里城、色調が変わる可能性も 「沖縄産の赤」検討 古文書の記述が鍵に

2020年10月31日 12:00

 2026年の再建を目指す首里城正殿の壁の赤色塗料に、名護市久志で採れる「久志弁柄(べんがら)」が検討され、沖縄美ら島財団が本年度から耐久性調査に着手することが30日、分かった。財団などが明らかにした。焼失前は使われておらず、採用されれば初めて県産の赤が彩ることになる。琉球王国時代の古文書に記載されている産地の赤は黄色みが強い。焼失前の色調から変わる可能性がある。(社会部・堀川幸太郎)

久志弁柄を試し塗りした板(右)。落ち着いた赤色になる。左は鉄バクテリア分解物の乾燥粉末で、焼いて弁柄顔料にする=24日、那覇市・沖縄美ら島財団琉球文化財研究室

首里城正殿の壁を塗り替える漆塗り職人。市場流通品の弁柄が使われていた=2010年11月2日、那覇市・首里城公園

焼失前の首里城正殿

久志弁柄を試し塗りした板(右)。落ち着いた赤色になる。左は鉄バクテリア分解物の乾燥粉末で、焼いて弁柄顔料にする=24日、那覇市・沖縄美ら島財団琉球文化財研究室 首里城正殿の壁を塗り替える漆塗り職人。市場流通品の弁柄が使われていた=2010年11月2日、那覇市・首里城公園 焼失前の首里城正殿

■尚家関係資料に記述

 王国時代の塗装材については国宝・尚家関係資料の文書「百浦添御殿(=正殿)御普請日記」に記述がある。1846年の正殿改修のため、現在の名護市久志に当たる久志間切に「弁柄33斤(19・8キロ)」の調達が命じられた。

 具体的に、久志のどの地点で弁柄の原料が採れるかは1992年の正殿復元後も分からず、沖縄美ら島財団が2006年から塗り替えを担う中で調査。13年、久志の山から流れる水に漂い、鉄分を食べるバクテリアの分解物が原料になると分かった。分解物を網ですくって集める。乾燥後、すりつぶして焼くと顔料になり、焼成温度900度の発色が最もいい。

 出来上がった弁柄は、落葉樹のアブラギリの実を搾って取る「桐油(きりあぶら)」と混ぜて塗る。

■国の委員会で採否

 国や財団によると、強い西日や塩分を含んだ雨風にさらされる正殿の使用に耐えられるか、20年度中に調査に着手。翌21年度で結果をまとめ、国の再建技術検討委員会に諮って採用の可否を決める。

 財団の琉球文化財研究室の幸喜淳室長補佐は古文書にある弁柄19・8キロは「正殿外壁を塗るには十分な量。原料は一般的なバクテリアがつくるが、久志では特に多く採れる。施工性も高い」と語った。

 耐久性の調査には「こんなに早くデータが必要になると思っていなかった」と述べ、1年前の火災を悔やんだ。

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