社説

社説[米大統領選投票] 最悪事態招かぬ対応を

2020年11月3日 08:02

 米大統領選は現地時間の3日投票される。

 米国第一を主張して国際社会との対立も辞さない共和党のトランプ大統領。一方、民主党のバイデン前副大統領は国際協調を信条としている。

 これまでの「トランプ流の政治」が続くのか、一新されるのか。米国の将来を左右する選挙に有権者の関心は高く、期日前投票は空前の9400万人に達している。

 最終盤の情勢は、優勢を保ったバイデン氏をトランプ氏が激しく追い上げているという。両候補が競り合う中、選挙そのものが無事に進められるか波乱含みの事態となっており心配だ。

 トランプ氏が自身の支持者に不正監視の名目で投票所に足を運ぶよう呼び掛けており、武装した支持者による威嚇行為が懸念されている。極右組織にも「待機せよ」とのメッセージを発信している。反トランプ派との衝突が起きる恐れがあり極めて危険だ。

 首都ワシントンではオフィスビルの入り口や窓に板を張り付けるなど異例の厳戒態勢を敷いている。投票所に警官を配置する都市や、目抜き通りを通行禁止にした街もある。選挙後の混乱への不安から、銃を買い求める人も増えているという。

 10月初旬の世論調査によると、選挙結果を受けて暴力が増加すると考える人は56%に上る。民主主義の根幹である選挙が衝突や暴動の引き金になりかねないとは、あってはならない異常事態だ。

 米国が最も重視しているはずの民主主義のありようが今、問われているのである。

■    ■

 新型コロナウイルス感染防止のため大幅に増えた郵便投票も、波乱の火種となっている。トランプ氏が「不正の温床」と決め付けているからだ。

 郵便投票はコロナに敏感な民主党支持者の利用が多いが、集計に時間がかかり、州によっては数日要するという。大勢判明を待たずトランプ氏が一方的に勝利宣言に踏み切る可能性がある。

 投票日から3日後の到着分まで有効票とみなす一部の州についても「不適切」だとして訴訟を示唆している。新たな最高裁判事に保守派の承認を急いだのも、法廷闘争を見据えた布石との見方が強い。

 郵便投票は各州のルールにのっとって行われている。根拠を示さず一方的に「不正」だと主張するトランプ氏の言動は、選挙の信頼性をおとしめるものだ。

 選挙結果が確定するまでの期間が長引くほど社会の混乱が深まるのは明らかである。

■    ■

 次期大統領が直面する課題は少なくない。コロナは再拡大し、1日当たりの新規感染者が8万人を超す日が相次ぎ「第3波」の様相を見せる。

 米国がこのまま混迷を続ければ国際社会にも影響を及ぼす。地球温暖化対策や核軍縮など国際協調が必要な課題の解決は遠のくばかりだ。

 過去の大統領選では、激戦であっても、最後は敗者が敗北を認めて勝者を祝福するのが伝統だった。

 だが今回は、どちらが勝っても対立や分断は当面修復されないだろう。

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