[県内移住と本の旅](第1話)

店に入りやすい雰囲気やレイアウトの工夫などで人気を集める古書店=2日、那覇市壺屋の「言事堂」

 街の書店が全国で消えつつある中、県内で古書店が活気を帯びている。全沖縄古書籍商組合の組合員は2020年9月時点で15人となり、組合ができた1980年ごろの5、6人から3倍に増えた。増加傾向は全国でも珍しいという。県外から移住して開店した店主は、現在は県内の古書店のうち、半数近くを占める。県内移住者はここでなぜ古書店を始め、続けているのか-。(社会部・光墨祥吾)

 全沖縄古書籍商組合の組合長で宜野湾市の古書店、榕樹書林の武石和実代表(71)によると、組合ができた80年ごろの組合員は5、6人ほど。抜ける組合員もいるが、入る組合員も多く、「全国でも珍しく増加傾向にある」という。

 古書店が増えている理由の一つが、沖縄に移住して古書店を始める県外出身者の存在だ。県内の古書店のうち、半数近くが移住者の店だ。店主らは「沖縄は本への関心が高い」と口をそろえる。

 近年は店頭だけでなく並行してネットで販売し、海外から注文がある店もある。販売先が広がっていることも営業を続ける後押しとなっている。

 県産本の出版が盛んな県内。いずれの店も「売れ筋は沖縄の本」だという。自らも移住者の武石さんは「沖縄本が沖縄で売れる姿が、他の地域で味わえない古書店を続ける面白みと魅力」と語る。

 県内の書店事情に詳しいボーダーインク編集者の新城和博さん(57)は「出版文化は、日本を相対化できる沖縄や北海道で、昔から活発だった」という。

 沖縄戦、本土復帰、米軍基地の存在により、県民はアイデンティティーが無意識に揺れ動き、「沖縄とは何か」をいつも問い続けていると分析し、「沖縄の人は、沖縄を知りたがっている」と話す。