社説

社説[バイデン氏優勢も] 相互不信 修復の道険し

2020年11月6日 07:02

 米大統領選は民主党のジョー・バイデン前副大統領(77)が中西部の激戦州を制して、当選へ大きく前進した。5日午後11時現在、現職のドナルド・トランプ大統領(74)と大接戦になっている。

 選挙戦では、米国第一主義を掲げてきたトランプ氏が「アメリカを再び偉大にする」と訴え、経済政策を前面に打ち出した。

 バイデン氏は「この国を分断してきたトランプ政権を終わらせよう」と強調し、分断修復や国際協調を訴えた。

 選挙戦も開票も異例づくしだった。

 事前の各種世論調査では、バイデン氏の優勢が報じられていた。だが、3日の開票では勝敗を左右するといわれる重要州のフロリダなどをトランプ氏が制し、一時は優勢に立った。郵便投票分の集計が進むにつれ、バイデン氏が前回共和党が取った激戦州のラストベルト(さびた工業地帯)の中西部を奪還し、当選へ王手をかけた。

 劣勢となったトランプ氏は一部の州で集計停止を求めて法廷闘争に打って出るなど、根拠も示さないまま郵便投票の「不正」を主張する。身内の共和党内からも選挙をないがしろにしているとの批判が出ている。トランプ陣営は集計作業の停止や再集計を求めて徹底抗戦の構えを見せており、最終的な結果の確定が不透明な状況だ。

 全ての票を集計するよう求めるデモ行進や、逆に作業の停止を求める抗議など支持者間の対立も激化する。民主主義の土台になる選挙で逆に分断が深まっている。

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 今回の選挙は、トランプ氏の再選を認めるか否かという信任投票の性格が強い。特に新型コロナウイルスへの対応が問われた。

 トランプ氏は世界最多の感染者・死者が出たことなどの批判から、世論調査では劣勢だったが、白人労働者層などから底堅い支持を得た。

 背景には、コロナで大打撃を受けた経済を回復させるための方針を前面に打ち出したことがある。

 自らも感染し一時入院したが、復帰後は連日大規模な集会を開催。バイデン氏が当選すれば経済が停滞するなどと指摘し、支持者の熱気をつなぎとめたといえる。

 バイデン氏はマスクの着用や感染対策を優先した。全米で23万人超の犠牲者が出たことで、トランプ政権のコロナ対応を批判。分断の加速を招いた政権に終止符を打ち、米国の融和を取り戻すという訴えが浸透した。

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 勝敗が確定していない州もある。開票が進む郵便投票は、民主党支持層の利用が多く、作業が進むにつれてバイデン氏が追い上げている。

 総得票数は4日までに歴代大統領選で初めて7千万票を超え、史上最多となった。バイデン氏は選挙戦で「全ての国民の大統領になる」と語った。

 選挙期間中に人種問題の対立で暴力事件も多発した。開票終盤でも支持者間の対立が続いており、選挙に伴って民主主義の危うさが露呈した。この異常事態を修復するのは容易ではないだろう。

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