ストーカー規制法の施行から今月24日で20年を迎える。

 付きまといや嫌がらせなどを繰り返すストーカーに警告や禁止命令を出し、悪質な場合は摘発して被害者を守る法律だ。1999年に起きた埼玉県桶川市の女子大学生刺殺事件などを機に成立した。

 施行後2回改正され、2013年に「執拗(しつよう)なメール送信」、17年には「会員制交流サイト(SNS)のメッセージの連続送信」が対象に追加された。

 それでも被害に歯止めがかからない。19年の警察への相談件数は2万912件。7年連続で2万件を超えた。規制法違反や脅迫、住居侵入などでの摘発は2355件に上る。

 近年、衛星利用測位システム(GPS)機器を悪用した新たな手口が問題となっている。相手の自動車に小型機器を無断で張り付け、スマートフォンやパソコンで探索して居場所を割り出す行為が典型だ。これまでに59件が摘発された。

 ただ、規制法にはGPSの悪用に関する明確な規定がない。最高裁は7月、GPS機器を使った2事件について規制法が禁じる「見張り」には当たらないとの初判断を示した。離れた場所から位置情報を把握していたため「見張り」の要件を満たしていないという。

 変化する手口に法律が追い付いておらず、関係者に衝撃が広がった。警察庁は10月、GPS悪用の規制について議論を始めた。

 位置情報が勝手に把握されるのは見張られるのと一緒だ。卑劣な行為を野放しにしてはならない。実態に即して法の見直しを急ぐべきだ。

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 ストーカーの多くは、警告や禁止命令を受けた時点で付きまとい行為などをやめるという。だが、やめられずに逮捕に至る事例も少なくない。

 警察は16年から、再発の恐れがある加害者に医療機関での治療を働き掛けている。被害者への執着心や支配意識をなくしてもらうのが目的で、19年は全国で過去最多の824人となった。

 カウンセリングで、思い込みの激しさや孤独を埋めたいという身勝手な要求に初めて気付いた加害者もいる。受診者の1割は再犯したとはいえ一定の防止効果がある。

 課題は受診率の低さだ。強制力はなく、費用もかかるため実際に受診したのは15%程度にとどまっている。

 受診費用を一部負担する警察もある。地域の医療機関などとも連携して受診率を高める工夫が必要だ。最も優先すべきは被害者を守ることだが、加害者対策も被害防止に結び付く。

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 ストーカー行為は、一つの行為だけに目を向ければ周囲からは軽微に見えても、それが何度も繰り返されることで被害者をおびえさせ精神的に追い込んでいく。

 殺人や性犯罪など重大事件につながるケースもこれまでに何度もあった。被害がエスカレートする前に早めに対処する必要がある。

 ストーカーの根絶に向け、新たな手口が他にないかなどにも常に目を光らせるべきだ。