社説

社説[ハリス氏副大統領へ]壁乗り越え女性に希望

2020年11月11日 05:00

 世界中の女性に勇気と希望を与えたに違いない。

 米大統領選挙で民主党のジョー・バイデン氏(77)が当選確実になったことを受け、カマラ・ハリス上院議員(56)が女性で初めて、米国の副大統領に就任する見通しとなった。

 ハリス氏は7日の勝利演説で「私は、母のことや、何世代にもわたる女性たちのことを思う」と語り、さまざまな人種の女性たちが、ここに至る道を切り開いてきたと強調した。

 今年は米国で女性に参政権が認められて100年の節目に当たる。女性副大統領誕生まで1世紀を費やした。女性の進出を妨げる見えない障壁、「ガラスの天井」はそれだけ厚かったともいえる。

 世界の人口は男女およそ半々だが、政治の場は現実を反映したものになっていない。

 列国議会同盟(IPU)によると、2020年の世界各国議会に占める女性議員の割合は24・9%だ。1995年の11・3%に比べ倍増したが、まだ4分の1にとどまる。

 ハリス氏は「女性の副大統領は私が初めてかもしれないが、最後にはならない。今夜の出来事を見ている一人一人の少女が、この国が可能性に満ちていることを理解するからだ」と若い世代にメッセージを送った。

 多様な意見を反映させてこそ、民主主義は機能する。ハリス氏の副大統領就任をきっかけに、女性の政界進出が世界、日本、沖縄で広がることを期待したい。

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 ハリス氏は次期大統領選の最有力候補と目され、究極の「ガラスの天井」打破まであと一歩に迫る。

 日本はどうか。

 2020年の女性議員の割合は9・9%でわずか1割だ。25年間で2・7%から7・2ポイント増えたが、増加ポイントの順位では世界119位と低迷。女性の政界進出は諸外国に大きく後れをとっている。

 安倍政権が、20年までに指導的地位に占める女性の割合を30%にする目標を掲げたが先送りしたことも記憶に新しい。

 先進国をみると、フランス39・5%(95年6・4%)、イタリア35・7%(同15・1%)、英国33・9%(同9・2%)、米国も23・4%(同10・9%)で、25年間でぐんと増加している。

 女性議員の割合を一定割合以上にする「クオータ制」の仕組みを導入して割合を上げた国が多い。日本も検討するべきだ。

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 沖縄に目を移すと、県議会議員に占める女性の割合は10・9%、市議会は11・5%、町村議会は8・2%。1割前後にとどまり、女性の意見を十分、政治に反映できる体制にはなっていない。

 玉城デニー知事はハリス氏を招いて沖縄で女性サミットを開催したいとツイッターに投稿した。ファーストネームと同じ沖縄市嘉間良(かまら)で実現したら面白い。ただ副知事に登用するなど、まずは足元から、政策決定の場に女性を増やす努力も忘れないでほしい。

 社会の半分を構成する女性が政治の意思決定の場に増えれば、社会はより健全に機能するはずだ。

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