自分の体の性や心の性、性的指向について悩んだことのある人が4・6%いることが県の実施した県民意識調査(速報値)で分かった。

 決して低い割合ではない。身近に悩んでいる人がいる結果ととらえるべきだ。

 そのうち75%が「偏見・差別がある」「自らが認識する性と異なる振る舞いを強制される」と生きていく上の困難さを挙げた。

 体の性と自ら認識する性が一致しなかったり、同性に恋愛感情を抱いたりする性的少数者(LGBT)への理解は、少しずつ深まっているとはいえ、生きづらさを感じている当事者は少なくない。

 県は「性の多様性宣言(仮称)」の策定を検討しており、有識者委員会を立ち上げ議論を始めた。当事者の権利保障につながる実効性のある宣言にしてほしい。

 調査では、性的少数者への偏見や差別をなくすために何が必要かを、自分の性に悩んだことのある人に尋ねた。「法律など社会制度の整備」が7割超で最も多く「幼少期からの教育」「教育現場における環境整備」も6割を超えた。

 全国の自治体で同性カップルを「パートナーシップ」として公認する制度が広がる。県内でも那覇市が導入している。民間企業にも同性パートナーを配偶者として認め支援する動きが全国で進む。

 県立高校では、性別に関係なく自由に制服を選べる制服選択制が広がっている。男女混合名簿を導入する小中高校も増えている。

 性の多様性を尊重する動きが拡大し、偏見や差別の解消に結び付くよう期待したい。

■    ■

 最近、問題となっているのは本人の同意を得ずに性的指向や性自認を第三者に暴露する行為「アウティング」だ。信頼する人にだけ打ち明けたつもりが勝手に周囲に漏れれば精神的なダメージは大きい。

 5年前には東京の法科大学院の学生が同性愛者であることを同級生に暴露された後に転落死する事案があった。

 一方、明かされた側もどうすればいいのか分からず適切に対応できないこともある。

 県の調査では、身近な人から性的少数者だと打ち明けられたらどう思うか、との問いに「理解したい」「応援したい」「今まで通り接する」を合わせて74・7%を占めた。だが「アウティング」という言葉は8割超が知らず理解は十分ではない。

 専門家は、誰にどこまで話しているかを本人へ確かめ、自分が誰にどこまで話していいのかを聞くことが大事だと指摘する。打ち明けられた際の対処の周知を図る必要がある。有識者委員会も支援態勢などを議論してほしい。

■    ■

 東京都足立区の区議が本会議で、性的少数者に関し「法律で守られているという話になれば足立区は滅んでしまう」と発言し批判を集めた。

 宜野湾市では性の多様性の尊重をうたう条例が市議会で否決された。

 多様性に背を向けていては当事者を孤立させてしまう。地域や職場、学校、家庭などへ理解を広げるには自治体が率先して差別解消に取り組むことが重要だ。