社説

社説[不正受給で元社員逮捕] 批判重く受け止めたい

2020年11月14日 08:14

 沖縄タイムス社の元社員(男性、45歳)が、新型コロナウイルス対策で個人事業主らを支援する国の持続化給付金をだまし取ったとして、県警に詐欺容疑で逮捕されました。

 県警によると、タイムス社に勤務していた6~7月、虚偽の内容で給付金を申請し、100万円を受給した疑いがもたれています。

 社内の聞き取り調査では、申請書の職業欄に「フリマ雑貨」とうその記載をしたことが明らかになっています。

 給付金とは別に、新型コロナの影響で減収となった人たちが対象の国の緊急小口資金20万円と総合支援資金60万円を不正に借り入れたことも社内調査で判明しました。

 持続化給付金は、資金繰りに苦しむ事業主らを支援する制度で、二つの資金は、低所得者の生活を立て直すためのものです。

 コロナにより県経済が大きな打撃を受け苦しい生活を余儀なくされている人が大勢いいます。そういう方たちの声を吸い上げ施策に反映させる役割を担う新聞社の元社員が、不正に受給したことは到底許されるものではありません。

 困窮者への救済を優先させるために簡素化された手続きを悪用するという、言い訳のできない行為でもあります。

 新聞は読者との信頼関係の上に成り立っています。その存在基盤をも揺るがす極めて重大な事態であり、読者の期待を裏切り著しく信頼を損ねたことを、心からおわび申し上げます。

■    ■

 不正発覚後、本紙には読者から厳しい批判やおしかりの言葉が数多く寄せられました。「はらわたが煮えくり返っている」との指摘に返す言葉もありません。

 タイムス社は当時総務局付課長だった容疑者を、10月8日付で懲戒解雇処分としました。容疑者に誘われ小口資金を不正に借り入れた関連会社・タイムス印刷社で働く30代男性社員にも同じく懲戒解雇処分が下されました。

 信用を損なった責任は大きく、社長をはじめとする全役員が報酬カットの処分を発表したところです。 

 社内調査を経て、現在は弁護士ら第三者を交えた特別検証委員会で、組織的な課題や再発防止策などの議論が進められています。

 日本新聞協会が定める新聞倫理綱領は「すべての新聞人は、その責務をまっとうするため、自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない」と定めています。

 あらためて肝に銘じたいと思います。

■    ■

 新聞メディアは社会の公器として人々の知る権利に応え、民主主義のインフラとしての役割を果たしてきました。

 なぜ不正を未然に防ぐことができなかったのか、コンプライアンス(法令順守)に関する社員教育は十分だったのか、組織的・構造的な問題はなかったのか。

 特別検証委での検証の後、再発防止に向けた取り組みを着実に実行し、新聞メディア本来の役割を果たしていくことで、信頼回復につなげていきたいと考えます。

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■ネット上の匿名報道に関するご説明

https://www.okinawatimes.co.jp/common/otp/docs/Press_explanation.pdf

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<情報を募ります>

沖縄タイムスは新型コロナウイルスに関する持続化給付金など、公的支援制度の不正受給問題の取材を進めています。不正受給に関する情報を広く募ります。

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