コンピューターゲームをスポーツ競技として楽しむ「eスポーツ」。沖縄の県立高校でも、学校行事の一環として取り入れる動きが出始めた。体力差や性別、天候に関係なく気軽にプレーできるほか、試合の模様を大画面に映し出せば、他の生徒も一緒になって盛り上がれる。集団の移動や身体接触を伴う活動に比べれば新型コロナウイルスの感染リスクも少なく、教員らは「使い方次第で交流を深める新たな手段になる」と期待する。(社会部・銘苅一哲、編集委員・鈴木実)

バドミントンのゲームで対戦する生徒たち=10月23日、那覇市・泊高校

スクリーンを見ながら野球のゲームを楽しむ生徒たち=10月27日、宜野湾市・中部商業高校

バドミントンのゲームで対戦する生徒たち=10月23日、那覇市・泊高校 スクリーンを見ながら野球のゲームを楽しむ生徒たち=10月27日、宜野湾市・中部商業高校

 「おおーっ」「頑張って!」。大型のスクリーンに映し出された熱戦に、観客の生徒たちが声援を送る。コロナの感染防止のためそれぞれ距離を置いて座ったが、それでもスタジアムにいるような一体感だ。

 10月下旬に泊高校(那覇市)で開かれた初の校内eスポーツ大会。もともとは遠足を予定していたがバスでの移動はコロナ感染のリスクが高く、代替行事として企画した。決勝戦が行われた体育館には、定時制午前部の生徒のほぼ9割に当たる約200人が集まった。

 競技は「バドミントン」と「やり投げ」。初心者と経験者で差がつきにくいよう、あえて競技人口の少ない種目を選んだ。

 各クラスの予選を勝ち抜いた生徒たちは、手に持ったコントローラーを激しく上下させたり、振り下ろしたり。スクリーンに映し出される自分の分身の選手を、巧みに操作していた。

 バドミントンは、糸数可菜さん(17)と高里美佑莉(みゆり)さん(16)のペアが優勝。2人ともプレーするのは初めてで、「緊張したけど楽しかった」とはにかんだ。伊波優真さん(18)とのペアで準優勝した當間琉司さん(18)は「本当のスポーツよりこっちがいい」と笑顔だった。

 中部商業高校(宜野湾市)も10月下旬、校内の球技大会に合わせてeスポーツ大会を開いた。「太鼓の達人」など3種目があり、球技大会の待ち時間などを利用して楽しんだ。

 野球のゲームでは実際に1チーム9人の生徒が打者ごとに操作を交代。級友らの声援を背に、プレーヤーの生徒は試合に熱中した。

 企画した商業科の高江洲譲治教諭は「eスポーツは市場の成長が予想され、商業高校として目を付けておくべき分野。大会運営や企画力など、多様な学習にもつながる」と期待した。

 新里彰久校長も「学校でのeスポーツは賛否両論あるかもしれないが、生徒たちが何に興味を持っているか把握することも重要だと考えている」と話した。

[ことば]

 eスポーツ エレクトロニック・スポーツの略。パソコンや家庭用ゲーム機を使ってゲームの腕を争う競技で種目は幅広い。2019年の国体で文化プログラムとして全国都道府県対抗eスポーツ選手権を開催。国際オリンピック委員会(IOC)は五輪実施競技入りの可能性を模索している。通信制高校などを中心に授業や部活に取り入れる学校も増える一方、スポーツとして取り扱うことへの異論や、依存症対策などの課題もある。