沖縄県内の新型コロナウイルス新規感染者が19日、9月5日の緊急事態宣言解除後では最多の54人になった。人工知能(AI)を使い、17日から都道府県別の公表を始めた米グーグルの予測(33人)を上回った。流行の「第3波」が全国的に本格化する中、感染状況はどうなるのか。グーグルは今後4週間で、1日30人台の感染者が出続けると予測。治療に当たる現場の医師は「1~2週間で現状の倍増もあり得る」とし、80~100人台の感染者が出る事態も見据える。
17日から12月14日までの28日間で「陽性者913人」「死者8人」。グーグルの県内の感染予測だ。厚生労働省が発表した過去のデータなどを学習したAIが予測値をはじき出す。
公開初日の17日は、予測数23人に対して実際は24人と近かったが、18日は32人に対して実際は41人。19日は21人の差があった。
今後、どの程度の感染拡大ペースが県内で見込まれるのか。
県立中部病院感染症内科の高山義浩医師は、県外での流行が拡大すれば「ここ1~2週間で倍増することも想定せざるを得ない」と指摘する。1日当たり40~50人台で推移している現状を踏まえ、80~100人台になるとの見立てだ。背景には、21日から始まる3連休で人の移動が増え、県外から持ち込まれるウイルス量も増えることを挙げる。
ただし、感染者数がそのまま流行状況を表すと考えるのは早計だ。「感染者数は、必要な人がどれだけ検査を受けに行くかに左右される」(高山医師)からだ。感染者数の下がった9月中旬は、若い世代の検査離れがあったとされる。
高山医師は「大切なことは、重症者や死者を出さない対策をすること。それができていれば、感染者数に右往左往したり、過度な自粛を求めたりする必要もない」と強調した。
グーグルは予測について「医療機関や行政機関などが感染拡大に対応する情報の一つとして活用することを期待する。(予測値は)トレンドとして捉え、複数のデータソースと組み合わせて使ってほしい」と呼び掛けている。