米軍普天間飛行場の負担軽減策を話し合う政府、県、宜野湾市の負担軽減推進会議作業部会が、1年2カ月ぶりに開かれた。
安倍政権時代に政府が約束していた「5年以内の運用停止」は、日米が真剣に交渉を重ねた形跡もないまま、昨年2月、期限を迎えた。
その翌々月に開かれた推進会議で玉城デニー知事らが期限の再設定を求めたことを受け、県と宜野湾市は作業部会でも、あらためて運用停止期限を設定し直すよう求めた。
だが、政府は辺野古の軟弱地盤改良の設計変更申請中であることなどを理由に難色を示した。
普天間移設を巡っては、返還時期がころころ変わり、宜野湾市民や県民が振り回されてきたいきさつがある。
「5年以内の運用停止」が難しくなると、政府は県の非協力的な態度のせいだと言わんばかりの発言を繰り返すようになった。
「できることはすべて行う」という事実上の約束が実現できなかったのは、本当に県のせいなのか。
軟弱地盤の存在が公になったのは、土質調査の報告書が情報公開請求によって明らかになったからである。
翁長雄志前知事は、元知事が行った埋め立て承認に対する「撤回の聴聞通知書」の中で、こう指摘している。
「大規模な軟弱地盤改良工事を行うならば、本件埋立事業はこれからどれだけの長い年数を要するのか見当をつけることもできない」
この事実はもっと再確認されるべきだ。
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翁長前知事は軟弱地盤の問題を最大の理由として埋め立て承認の「撤回」に踏み切ったのである。
日米両政府はその後、翁長前知事が危惧していたように、「2022年度またはその後」としていた返還時期をまたしても大幅にずらすことになった。
軟弱地盤の改良工事に12年、建設経費に9300億円かかることを明らかにしたが、それだって、どうなるか分からない。
使用期限の再設定を巡って、政府が、木で鼻をくくったような回答しかできなかったということは、軟弱地盤の改良工事の先の見通しがたたないという疑いを生じさせる。
辺野古に固執した移設計画は、ゴールが見えないまま、漂流している。
最も望ましいのは、いったん工事を中断し、改良工事の終了を待たないでも済むような多様な選択肢を話し合うことだ。
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今、急を要するのは騒音対策に本気で取り組むこと、そのためにオスプレイの県外での分散訓練をもっと進めることである。
有機フッ素化合物PFOS(ピーホス)を含む米軍の泡消火剤が街中に漂い、住民を不安に陥れた。
このような事態は、そもそもあってはならないことだ。
求められるのは、20年版防衛白書が言う「一日も早い全面返還」ではなく、言葉が持つ本来の意味での一日も早い全面返還・危険性除去である。