名護市辺野古の新基地建設を巡り県が国を提訴した「抗告訴訟」で、那覇地裁は27日、訴えを却下した。県は、埋め立て承認撤回を取り消した国土交通相の裁決が違法だと訴えていた。

 裁判所は判決の理由を「訴えは法律上の争訟に当たらない」とした。県の主張について実質的な審理をしないまま出された、文字通りの門前払いの判決だ。司法の役割放棄というほかない。

 県は裁判の中で、仲井真弘多元知事が辺野古沖の埋め立てを承認した後、埋め立て区域内に軟弱地盤や活断層が存在し、周辺には高さ制限に抵触する施設があることなどが判明したと指摘した。

 その上で、これらの事実を基に行った承認撤回には正当な理由があり、それを取り消した国交相の裁決は違法で、公正・中立性も欠くと主張していた。

 埋め立ての目的である米軍普天間飛行場の代替施設整備には重大な欠陥があるということだ。巨額の税金を投じ建設する以上、国は率先して指摘された疑念の解消に努めるべきだった。新基地建設に対する県民の根強い反対を考えればなおさらである。

 しかし国は、裁決の取り消しを求めた県の訴えが裁判の対象となる財産的な争いではなく、従って反論する必要はないとした。地裁も国の主張を追認した。

 裁判の役割は本来、当事者間の争いに法律の面から一定の解決をもたらすものであるはずだが、今回の判決でも新基地問題は解決の糸口すらつかめなかった。

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 判決は、辺野古海域のような公有水面は本来国の所有としつつ、「工事に伴う弊害の防止策等については、地方の実情に詳しい知事に審査させることが妥当」と承認の必要性を述べている。ここまで県の役割を認めながら、実質審理を行わず門前払いしたのは理解しがたい。

 一方、県の訴訟提起を認めた場合「いたずらに私人を不安定な状態におくこととなり、紛争の早期解決に資さない」とした。今回の場合「私人」とは同じ国の機関である沖縄防衛局だ。新基地工事に遅れが生じる以上の支障があるとは思えない。

 新基地を巡る県と国の訴訟は係争中も含め九つあり、県勝訴は一例もない。だがこれら訴訟のほとんどが今回のような「入り口」の論議で終始している。国政選挙県民投票で示された民意は、司法に届いていない。紛争の早期解決を阻んでいるのは硬直した司法の在り方である。

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 敗訴したとはいえ、県が指摘した軟弱地盤などは残されたままだ。県は来年にも、軟弱地盤の存在を認めた国の設計変更申請について可否を判断するが、今後もこうした手続きのたびに問題視されることになる。

 今月あった基地負担軽減推進会議の作業部会では普天間の運用停止期限は示されず、国はかたくなに新基地に関する対話を拒んだ。

 司法も政府も、県とまともに議論しようとしない。これは差別的政策以外のなにものでもない。