費用の心配をすることなく必要な医療が受けられる制度整備である。対象年齢引き上げの要望は強く、健康格差、地域格差解消の一歩として評価したい。

 子どもの医療費を公費で負担する「子ども医療費助成事業」で、県は2022年度から通院にかかる費用の助成対象を中学生まで拡大すると発表した。 

 市町村が実施する制度の経費の2分の1を県が補助するもので、これにより県内全域で中学校卒業までの医療費の実質無料化が実現する見通しだ。

 国の制度では、原則、就学前は2割、小学生以上は3割の医療費を自己負担しなければならない。しかし子育て支援の一環として、ほぼ全ての市町村が、独自に無料化や軽減策などを実施している。

 県内では既に16市町村が中学生まで、11市町村が高校生までの助成を進めている。一方、財政負担の重さなどから那覇市をはじめ14市町村は就学前か、小学校卒業までの助成にとどまっている。

 住んでいる地域によって親の負担に違いが出るのはおかしい、というのは当然わく疑問だ。

 県が打ち出した対象拡大は、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るほか、子どもの貧困解消につなげようとの考えがある。

 沖縄の子どもの貧困率は25%と高く、全国の2倍近くに上る。

 無料化は、誰もが平等に医療を受けられるようにという、子どもの育つ環境を整える重要な支援だ。

■    ■

 貧困が健康に及ぼす影響は大きく、日本でも子どもの健康格差が顕在化しつつある。

 県が18年に実施した小中学生調査で、過去1年間に子どもを医療機関に受診させなかった経験が困窮層で3割を超えた。「多忙」に続き2番目に多かった理由が「自己負担金を支払うことができなかった」だった。

 子どもを受診させなかった経験がある層ほど、子どもの虫歯が多い傾向にあることも明らかになった。

 助成制度を効果的に機能させ、受診抑制を強いられている子どもたちを適切な医療サービスへつなげるべきだ。

 その際、導入すべきは、いったん支払った後に返金する「償還払い方式」ではなく、窓口での支払いのない「現物給付方式」である。

 最終的な医療費負担は変わらなくても、子どもの貧困対策としての目線には大きな違いがある。

■    ■

 少子化の進行もあり、人口流出に歯止めをかけようと、無料化を拡大する動きが全国各地で広がっている。19年4月時点で、通院費を高校生まで助成している市区町村は全体の約4割を占める。

 県の助成拡大は歓迎すべきだが、取り組みとしては遅いくらいである。

 コロナ禍による休業や失業で困窮し、厳しい状況に追い込まれている家庭が増えている。

 本来、少子化対策や貧困対策は公的責任において国が実施すべき課題である。そのことも忘れないでもらいたい。