沖縄の美ら海・美ら島を未来に残していきたい―。NPO法人おきなわグリーンネットワーク(西原隆理事長)は、そんな思いから、赤土流出を防ぐ取り組みを続けてきた。沖縄は、土壌の粒子が細かく、降雨が強いため、土壌が海に流れ出やすい環境。戦後の開発で流出が加速し、サンゴに被害を与えるなど海洋汚染が深刻化している。おきなわグリーンネットワークは行政とも協力し、畑を植物で囲うグリーンベルトの整備や、子どもたちの環境学習を通して赤土対策に取り組んできたが、予算に限りがあり、追いついていない。クラウドファンディングで資金を募り、活動を広げたい考えだ。

■美ら海に深刻な被害をもたらす赤土流出

 沖縄は、赤土などの土壌が細かい上、雨の強さを示す降雨係数が全国平均の3倍となり、土壌が流されやすい。平野がなく、河川も短いため、流された土壌は、そのまま海まで行き着いてしまう。

 戦後には農地開発、河川改修、米軍基地建設などの大規模な開発事業が相次ぎ、流出が加速。サンゴや海藻などが生息する海底に降り積もり、生態系を壊す一因ともなっている。定置網に付着し、養殖モズクが育たないなど水産業にも被害が出ている。

畑を囲うように植えられたベチバーを紹介する西原理事長(左)と農業環境コーディネーターら=11月24日、糸満市

 県内の陸から海に流れ出る赤土などの土壌は1993年度には52・1万㌧に上り、海洋汚染が深刻化。沖縄県は95年に赤土等流出防止条例を策定し、一定規模の開発には流出対策を義務づけるなどの規制を設けた。2016年度には27・5万㌧と半分近くまで削減している。

 一方、農地での対策は、農家の負担が重くなるため、努力義務となっている。対策が遅れ、流出量の8割以上を農地が占め、割合が増している。

■農地での対策が大きな課題

 西原理事長は「個人経営の農家が多く、環境問題の解決を農家だけに任せるのは限界がある」と指摘する。農閑期などで作物を植え付けていない野ざらしの畑からは、特に赤土が流れ出やすいという。沖縄は、気温が高く、太陽光の強い夏場から台風が多く襲来する秋にかけての農環境が過酷なため、農地を空ける農家が多い。野ざらしを防ぐため、農閑期にひまわりなどを植え、花が咲いた後は畑の土と混ぜ合わせて肥料に活用する緑肥対策を実施している。畑の周りに植物を植え付けるグリーンベルトも防止に有効的な手段だ。

 ただ、防止対策は、費用と時間がかかるため、なかなか手が出せない農家が多いという。西原理事長は「環境への意識は高まっているが、普及が追いついてない」と懸念する。おきなわグリーンネットワークは行政の補助金を活用し、沖縄県が配置した農業環境コーディネーターとも協力。地域の住人や子どもたちをボランティアで募り、グリーンベルト植栽やひまわりの植え付けを進めている。植え付ける苗や種の費用も負担する。

 一方、行政の予算には限りがあり、グリーベルト植栽や緑肥対策を求められているが、待たせている農家もいる。西原理事長は「持続的な活動につなげるため、まずはクラウドファンディングに挑戦したい」と意気込む。将来的には、流出対策をしている農家の作物を付加価値をつけて販売したり、企業の協力を得たりして、行政に頼らない自立したシステムを作り出したい考えだ。

■子どもたちの言葉に衝撃

 おきなわグリーネットワークは環境教育にも力を入れる。植栽活動などを通して、沖縄の豊かな自然環境や、農作物の良さを見直すきっかけ作りにつなげている。西原理事長は「雨が降れば海は赤くなるのが当然という子どもたちの言葉に衝撃を受けた」という。赤土を悪者と思っている子たちも多いといい、「本来は海にあるはずのない赤土が流れ出ているから問題。赤土は沖縄の農業になくてはならないもの」と強調する。

環境教育の一環としてサトウキビ畑のグリーンベルトを植え付ける子どもたち

 元の環境を取り戻すには、相当な時間がかかると見込まれる。西原理事長は「子どもたちと一緒に沖縄の海と島を守っていきたい」と話した。おきなわグリーンネットワークは、沖縄タイムス社のクラウドファンディングサイト「Link―U(リンクユー)」で活動費を募っている。集まった寄付は、グリーンベルト植栽などの防止対策や、子どもたちの環境学習に役立てる。

 クラウドファンディングはJAおきなわも協力。返礼品に県産和牛やあぐー豚肉、シークヮーサー、黒糖を提供する。リンクユーはこちらから。