夫婦が希望すればそれぞれ結婚前の姓を名乗れる「選択的夫婦別姓」への支持が高まりを見せている。

 市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」などが60歳未満の成人男女へ行ったインターネット調査で、自分がどちらの姓を選ぶかは別にして「他の夫婦は同姓でも別姓でも構わない」とする人は合計で7割に上った。回答者が7千人に及ぶこれまでにない大規模調査だ。

 「自分は夫婦同姓がよい。ほかの夫婦も同姓であるべきだ」との意見は14・4%にとどまった。

 地域別では、沖縄が選択的夫婦別姓に「賛成」の割合が最も高かった。

 現状は結婚するカップルの96%が夫の姓を選んでいる。つまり改姓するのは女性が圧倒的に多い。晩婚化でキャリアを積んでから結婚する人も増えているのに、姓が変わることで仕事の実績や人脈が分断されてしまう。そんな不安を抱える女性は少なくない。

 名前は個人の尊厳にも関わる。もちろん相手と同じ姓を名乗ることに夫婦の絆や幸せを感じる人もいるだろう。一方で慣れ親しんだ名前が変わることは自己喪失感につながりかねず、互いを尊重するために事実婚を選ぶカップルもいる。

 最近は通称として旧姓が使える職場が増えてきた。住民票やマイナンバーカード、運転免許証に旧姓を併記できるようにもなった。ただ、旧姓が契約や手続きに使えるかどうかは組織によって異なる。両方の姓を使い分ける必要があるなど不利益の解消には不十分だ。

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 「伝統的な価値観を壊す」としてかねて夫婦別姓への慎重姿勢が強かった自民党内で最近、議論が活発化している。

 党の女性活躍推進特別委員会が菅義偉首相に制度への対応を“直訴”するなどこれまで見られなかった動きがある。一方、保守系議員ら反対派も議員連盟を発足させた。双方の主張の隔たりは大きい。

 だが、政府が新たな男女共同参画基本計画の策定に向け実施したパブリックコメント(意見公募)に目を向けてもらいたい。

 「改姓を避けるために結婚を諦めている」「事実婚では子どもが持ちづらい」など選択的夫婦別姓の導入を求める意見が約400件寄せられた。当事者の切実な思いが伝わってくる。

 菅首相は6日の参院予算委員会で、自身がかつて選択的夫婦別姓に前向きな発言をしたことを問われ「政治家として申し上げたことには責任がある」と答弁した。ぜひ責任を果たしてほしい。

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 そもそもこの問題は、法制審議会が1996年に民法の改正を答申したもののたなざらしにされてきた。

 2015年の最高裁判決は、夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断した一方で、選択的夫婦別姓は「国会で論じるべきだ」とした。

 選択的夫婦別姓の導入は時代の要請だ。来月閣議決定される第5次男女共同参画基本計画に盛り込むとともに、国会は制度導入へ動きだすべきだ。