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申請代行1人で700件「ふつうは無理」沖縄のコロナ給付金詐欺、さらなる立件の可能性も

2020年12月3日 06:36

[ニュース近景遠景] 

 国の持続化給付金詐欺事件で沖縄県内2例目の逮捕となったのは、不正受給の指南役とされる会社役員の男(54)、妻で自営業の女(53)の両容疑者。県警の調べに対し2人はいずれも否認しているが、周辺取材による本人らの言動からは不正を認識していたことが浮かび上がる。県警は犯意の立証とともに、2人に加え別の人物の関与もあったとみて捜査を継続する。県警は2日、詐欺容疑で2人を送検した。(社会部・城間陽介、比嘉太一、仲村時宇ラ)

 「フリマ(雑貨)でもいいですかね」

 「いいんじゃない」

 今年6月、持続化給付金申請に必要な確定申告書の事業名をどう書くか悩んでいた沖縄タイムス社元社員(45)=逮捕・勾留中=に、男は事業実体がないと知りながら同意するようなそぶりを見せていたという。

 同時期、沖縄タイムス関連会社の30代元社員=懲戒解雇=が、国の緊急小口資金の借り入れで申請書類の職業欄に何を書くか迷っていた際も、男は相手の趣味を聞き出して「釣りアドバイザー」と書くよう勧めていた疑いがある。

 ただ、男は本紙取材に「(虚偽記載は)彼らの言い分であって、自分から書かせるはずはない」と否定している。

■「1件1時間」

 一方で別の疑問も浮上する。男らが手掛けた700件にも上るとみられる膨大な給付申請手続きはどのようにして可能だったのか。

 同給付金の申請代行やサポートに関わった県内の税理士や行政書士によると、依頼人に対する必要書類への記入事項の説明や、事業収支明細の突き合わせ確認などで申請1件当たり1時間前後を要するという。ある男性税理士は「とてもじゃないが700件の申請処理は24時間働きづめでもできない」と断言する。

 行政書士の一人は「あらかじめ確定申告書に所定の数字が記載されているなど、からくりがないと処理が追い付かない件数だと思う」と話した。

■見えぬ終着点

 持続化給付金詐欺事件の全容解明を目指す県警特別捜査本部(本部長・崎原永克刑事部長)は、当初申請者のタイムス元社員と指南役の男をセットで逮捕する捜査方針も検討したとされるが、「検事との調整の結果」元社員の逮捕が先行する形となった。

 2例目の逮捕発表も1例目同様「氏名不詳の者と共謀の上」としている。捜査の終着点はまだまだ見通せていない。

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