来年の世界自然遺産登録を見据え、人工知能(AI)の技術を使って沖縄県内の希少な動植物の流出を防ぐ取り組みが進んでいる。空港などで動植物が希少種かどうかを瞬時に判別できるアプリの開発を、NTTドコモが環境省、県環境部、NPO法人どうぶつたちの病院沖縄などと協力して進めている。(社会部・山城響)

AI技術で希少種を撮影後、瞬時に識別が可能になる

 生息地から持ち出された希少種は元へ戻すことができない。密輸先で病気や菌を保有した可能性があり、元の環境に影響を与え、絶滅などのリスクにつながるためだ。国際自然保護連合(IUCN)がガイドラインを定め、環境省も規定に沿って対応している。

 NTTドコモのAI技術はヤエヤマセマルハコガメ、リュウキュウヤマガメなど6種の希少なカメを識別できる。上、横、斜めなどさまざまな角度から色や形、模様などを大量に撮影し、特徴をデータ化した。

 ドコモの担当者があるカメの甲羅を上から撮影すると「ヤエヤマセマルハコガメ」と「0・96」のスコアがデモ版のアプリ画面に表示された。スコアが「1」に近いほど正確。甲羅の裏側や真横から撮っても点数は低くなるが識別可能だ。

 判断基準となるデータは沖縄こどもの国で飼育されている希少種のカメたちから得ている。データの蓄積量が多いほど識別の精度が上がるため協力は欠かせない。ドコモの谷口崇士沖縄・奄美世界自然遺産推進担当部長は「組織の連携がなければ正確な運用は実現できない」と強調する。

 今後のテーマは、亜種の識別精度や、カメ以外の生物や植物の種類を増やすこと。将来的には、手荷物検査場などで撮影した写真を動植物の専門家や捜査機関とリアルタイムに共有し、摘発につなげる。

 谷口部長は「現場の負担を軽減し、希少な生き物を守りたい」と意気込む。

 JALスカイエアポート沖縄石垣空港所の上里修副所長(57)は「多くの場合、乗客が希少種だと認識していない」と指摘する。

 地域によって条件付きで輸送が認められる種もある。細かい規定を把握しないと、その場で判断できない。搭乗時刻が迫り、乗客に確認の同意を得るのが難しいケースもあるという。「AI技術が導入されれば、迅速で正確な対応につながる」と新技術の導入に期待した。