国内では約3年ぶりの発生となる。11月に香川県の養鶏場で複数の鶏が死んでいるのが発見され、高病原性鳥インフルエンザの感染が判明して以降、兵庫、福岡、宮崎県などにも広がっている。

 農林水産省によると3日現在、鶏などの家禽(かきん)への感染が4県15事例、野鳥が3道県7事例ある。

 ウイルスは主に渡り鳥が運び、ふんなどの排せつ物や死骸を介して感染が広がるとみられる。鹿児島県などでは野鳥の感染も明らかになっており、渡り鳥が飛来するこの時期は、全国どこで発生しても不思議ではない。

 各地で鶏の殺処分や消毒などの防疫措置が行われているが、各自治体で緊張感を持ったまん延防止対策の徹底が必要だ。

 鶏に感染すると高率で死ぬことから、養鶏場で広がると農家には甚大な打撃となる。

 「養鶏王国」と呼ばれる九州はブロイラーの飼育数(2019年2月、畜産統計)が計約7千万羽と全国の約半数を占める。宮崎県は全国1位で約2800万羽、鹿児島県が約2700万羽と続く。

 農水省は、全都道府県に早期発見や通報の徹底を通知した。疫学チームの派遣などで原因究明も急ぐ。

 沖縄県ではこれまでに感染例はない。国内で相次ぐ発生を受けて、県は養鶏関係団体と緊急対策会議を開き、「例年よりリスクは高い」として、飼養衛生管理基準の順守を呼び掛けた。対岸の火事とせず、関係団体などと連携を密にし、万全な防疫態勢で侵入を食い止めてほしい。

■    ■

 宮崎県の生産者や飲食業界からは風評被害の懸念も上がる。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、ただでさえ外食などの消費が落ち込んでいる中、追い打ちとなる可能性もある。

 国内では、これまで鶏肉や鶏卵を食べることにより、人に感染した事例の報告はない。万が一、食品中にウイルスが存在しても、十分に加熱調理をすれば感染の心配はないという。感染した鶏肉が市場に出回ることもない。

 鳥インフルエンザウイルスが人から人に感染するのもきわめてまれだ。

 国や自治体は正しい情報を丁寧に繰り返し発信するなど風評被害を防いでほしい。消費者もむやみに恐れず、冷静な対応が必要だろう。

 全国の養鶏関係者には、防鳥ネットや施設に破損がないかの入念な確認、消毒の徹底などをこれまで以上にお願いしたい。

■    ■

 家畜伝染病といえば、県内でことし1月、33年ぶりに豚熱(CSF)が発生し、計10農場で計1万2千頭余りが殺処分された。

 非加熱の食品残さを餌に与えるなど、衛生管理基準の不徹底が指摘された。

 島しょ県の沖縄でいったんウイルスが侵入すれば、急速にまん延する恐れがある。そうなれば、生産者にとって大打撃となり、風評被害、県産ブランドへの信用問題にも直結する。

 豚熱の教訓を生かした、先手先手の防疫対策が求められる。