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沖縄タイムス元社員の不正受給 検証・再発防止策などに関する報告書の全文

2020年12月4日 08:06

 沖縄タイムス社元社員による持続化給付金不正受給事案などを受けて設置した「新型コロナウイルス給付金等の社員不正受給に関する第三者を交えた特別検証委員会」の報告書がまとまり、3日、池田修委員長より報告書の提出を受けました。(関連記事>>

沖縄タイムス社

 委員会は、沖縄弁護士会、沖縄税理士会から推薦・派遣をいただいたほか、企業経営の専門家など外部の第三者を交えて構成されました。9月30日の設置以降、10月5日に第一回委員会を開き、12月3日まで計6回にわたり社内調査の信頼性や不正行為を防げなかった組織的な課題、再発防止策について審議いただきました。

第1 委員会設置の目的

 沖縄タイムス社の社員(当時)と関連会社の社員(当時)が、新型コロナウイルス関連の持続化給付金等に関し、以下のとおり不正に申請・受給していたことが判明した。そこで、沖縄タイムス社は、他の社員らへも調査を行うとともに、再発防止策を検討しているところであるが、既に沖縄タイムス社が行った社内調査の妥当性や社員の不正行為を未然に防ぐことができなかった組織的な課題、さらには再発防止策などを検証するため、専門家ら第三者を交えて本委員会を設置した。

 本報告書では、設置目的にそって(1)既に行われた社内調査の信憑性や妥当性、(2)会社として不正を防止できなかった組織的課題、(3)今後の社員による不正行為を防止するための方策について、それぞれ検証する。

第2 事案(不正受給等)の概要

 沖縄タイムス社の社内調査によると、沖縄タイムス社の元社員(以下、「元社員」という。令和2年10月8日付で懲戒解雇)とタイムス印刷社の元社員(以下、「元関連会社の社員」という。令和2年10月8日付で懲戒解雇)が、新型コロナウイルスで打撃を受けた個人事業主を支援する持続化給付金や緊急小口資金等について、職業を偽るなどして申請し、不正に受給・借り入れを行っていた。

 元社員は、知人のコンサルタント男性に持続化給付金制度の利用を助言され、那覇市内の税理士事務所を訪れて昨年の確定申告を修正するとともに、本年の売上が休業中であるため0円であるとの虚偽の書類を作成し、職業を偽るなどして給付金を不正に申請し100万円を受給していた。さらに緊急小口資金と総合支援資金についても虚偽の申請を行い、緊急小口資金20万円、総合支援資金60万円をそれぞれ借り受けていた。

 なお、元社員は、沖縄県のコロナ対策奨励金(10万円)についても不正な申請を行っていたが、事案発覚後に申請を取り消しており、奨励金を受領していない。 

 元関連会社の社員は、元社員の誘いを受けて那覇市内の税理士事務所を訪れ、元社員と同様に職業を偽って昨年の確定申告を行ったうえで持続化給付金の申請を行うとともに、緊急小口資金についても不正な申請を行っていた。しかし、持続化給付金については自ら指定口座を解約したため受給していない。他方、緊急小口資金の20万円については受領していた。

 さらに、元社員は沖縄タイムス社の社員である2名を勧誘し、ともに那覇市内の税理士事務所へ同行して持続化給付金等の説明を受けさせている。しかし、これらの者は申請を行っておらず、不正行為に及んでいない。

第3 検証結果について

1 社内調査の信憑性や妥当性について

 (1)沖縄タイムス社の調査内容

 沖縄タイムス社は、不正受給事案が発覚した令和2年9月12日以降、不正受給に関与した元社員と元関連会社の社員を中心に聴き取り調査を実施した。元社員については9月12日から同月25日までに合計8回、元関連会社の社員についても9月13日から同月23日までに合計5回の聴き取り調査を行っている。

 具体的には、持続化給付金や緊急小口資金等を申請するに至った経緯や申請内容(虚偽申請の内容)、動機などに加え他の者への勧誘の有無、勧誘した者らからの金銭授受の有無、コンサルタントらへの報酬の有無など、事案の全容を把握するため詳細な聴き取り調査を行っている。

 そのなかで、元社員から他の社員2名を勧誘し税理士事務所へ同行したとの話が出たことから、直ちにこれら2名の社員についても聴き取り調査を行っている。

 なお、聴き取り調査のなかで元社員が昨年の確定申告を修正し、元関連会社の社員が昨年の確定申告を行ったことや職業を偽って申請したことが判明したため、元社員及び元関連会社の社員が保管する確定申告書や申請書など可能な限りの資料提供を受け、その裏付けを行っている。

 さらに、他に不正な申請を行った社員がいないかを確認するため、事案が発覚した日の翌日である令和2年9月13日には沖縄タイムスグループ全役職員(498名)を対象とした調査を実施することを決定し、同月16日から10月5日にかけて調査を行った。

 この調査は、短期間に全役職員498名に対して調査を行うため、第1次的にアンケート調査を行い、その回答を踏まえて再調査の必要がある者に対し面談調査を行うという方法を取っている。アンケートは、本人や家族らのなかで各種支援制度を利用した者がいるか、これらの支援制度について勧誘を受けたことがあるか、職場内で支援制度の受給について聞いたことがあるか等の質問内容となっており、本人若しくは家族らが支援制度を利用したと回答した者(21名)については面談のうえ適切な申請となっていたか(社員が家族名義で不正な申請を行っていないか)などその内容を確認するといったものであった。

 その結果、本人若しくは家族らが申請したと回答した21名のなかで不正な申請が疑われるケースはなく、さらに元社員から勧誘を受けた上記2名の社員以外に勧誘を受けた社員は存在せず、さらに職場内で支援制度の受給についての話を聞いた者もいなかった。

 (2) 社内調査の信憑性や妥当性

 不正な申請を行った元社員らへの調査は、任意の聴き取り調査であるため、事案解明には限界があり、動機など明らかになっていない部分もある。しかし、本件において最も重要な申請に至る経緯や、不正な申請を助言した者の存在、その者との関係や他の社員2名への勧誘状況などの事実関係は明らかとなっており、その調査結果の信用性は高いと思われる。特に、元社員らが述べたとおり他の社員らも税理士事務所へ赴いたことを認めるなど(結果的に不正な申請は行っていない)、その内容も他の者の供述や提供された資料と一致しており、信頼するに値するものである。

 さらに、沖縄タイムス社では直ちに全役職員に調査を行っているが、事案発覚後速やかに498名への調査を行うため、まずアンケートの方法で再調査が必要な者を絞り込み、あらかじめ定めた再調査の基準(社員本人若しくは家族が支援制度を利用した場合や勧誘を受けていた場合、職場内で支援制度の受給について聞いたことがある場合)に従って本人若しくは家族らが支援制度を利用した場合などについて面談での再調査を行っており、迅速性と正確性を兼ね備えた方法として他に有効な方法もないことからも、この調査方法は妥当なものと評価できる。

 このように、本件発覚後に沖縄タイムス社が行った調査方法は概ね妥当なものであり、その調査結果についても信憑性が高いと思われる。

2 不正を防止できなかった組織的課題について

 (1) 組織的課題を検討する前提

 本件は、元社員らが会社の業務に関係なく自ら職業を偽って給付金を不正に受給し、または貸付けを受けていたものであり、あくまで元社員らの個人的な問題であって、これらの者を雇用する沖縄タイムス社の法的責任が問われる問題ではない。

 しかし、だからといって沖縄タイムス社に一切の責任がないということにはならない。

 報道機関として国民の知る権利の一端を担い、不正を監視し正すべき立場にある新聞社において、個人的とはいえ在職中の社員らが不正な行為に及ぶことを防止できなかったことに対する社会的責任を痛感すべきである。

 特に、コロナ禍において多くの県民が社会経済的に不安を抱いて生活しているなかで、営業自粛等の影響を受けた事業者に対し事業継続の支えと再起の糧とするために設けられた持続化給付金制度や休業等によって収入が減少した者に緊急かつ一時的な生計維持のための貸付制度である緊急小口資金制度を悪用し、不正な受給等を行った今回の案件は、社会に与える影響が大きく、県民の信頼を大きく損なったものである。その点からも、社員の不正を防止することができなかった沖縄タイムス社の社会的責任は重いというべきであって、これを防止できなかった原因が会社の組織若しくは体質等にないか厳しく検証するものである。

 (2) 不正を防止するための規程の整備について

 ア 沖縄タイムス社では、社則など組織に関する規定や、労務関係に関する就業規則等は定められているが、役職員の不正行為を防止するために必要な行動規範や倫理規程、コンプライアンス規程などが定められていない。また、内部統制(ガバナンス)をする内部統制規定が定められていない。

 役員からの聴き取りによると、これまで役職員による不正行為がほとんど発生しておらず、懲戒解雇に該当するような不正行為は30年ほど前に発生したに過ぎないとのことであった。

 確かに、長期間不正行為が発生していないということは、役職員らが常に高い倫理性をもって業務を行っていたことを意味するものではある。しかし、だからといって不正行為を防止するための諸規程を定めなくていいということにはならない。過去に不正行為が発生していないからといって、将来不正行為や不祥事が発生しないということにはならず、不正防止のための規程は整備すべきであって、これを整備していない点は会社としての危機管理が不十分であることを意味するものである。

 イ なお、沖縄タイムス社では就業規則によって社員による兼業・副業が認められており、今回の事件では、元社員が実際行っている副業とは別の事業を行っていると虚偽の申請をしている。

 会社が社員に兼業・副業を認め促進することは社会の要請であるが、労務提供上の支障がないか、さらには企業秘密の漏洩がないかを確認するため兼業や副業の内容の届出その他必要な情報の提供を受け、その職員と十分にコミュニケーションを取ることが求められている。

 しかし、沖縄タイムス社の就業規則では、このような情報提供を含めた兼業や副業に関する規定の整備が十分でなく、社員がどのような副業を行っているか把握していない。

 就業規則の整備遅れが本件不正行為を防止できなかった原因とまではいえないが、少なくとも会社として多様化する雇用環境や雇用形態に敏感に対応する姿勢が見られない点は問題であり、社会の変化に応じて既に定められた規程などの検証や修正も必要である。

 (3) 組織や制度について

 ア 不正を防止するためには、規程の整備だけでなく、組織や制度の整備も必要である。

 例えば、役員による会社運営や社員による業務の遂行が法令を遵守した形で行われているかをチェックしたり、不正を防止するため、コンプライアンス委員会を組織し、定期的にコンプライアンス違反の有無を確認したり、コンプライアンスへの理解を深めるための取り組みを提言するなどしている会社も多い。

 しかし、沖縄タイムス社には、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントを対象とした委員会はあるものの、コンプライアンス全般を取り扱う組織は存在しない。

 会社は、法令を遵守するのは当然であると認識しているように思われる。しかし、だからといってコンプライアンスの実践を役員や社員個々人に任せるべきではなく、コンプライアンスが実践されているかを検証する委員会を設置し、定期的にこれを確認しながらさらなる取り組みへの提言を行うなど、社内のコンプライアンス意識を向上させるための組織作りがなされていない。

 これは、不正行為や不祥事発生に対する危機感の欠如というべきであり、改善されるべき課題と思われる。

 イ さらに、不正行為や不祥事を事前に防止したり、これらが発生した場合に速やかに対応するため、内部監査を担う組織や内部通報制度等を設けている会社も多い。

 しかし、沖縄タイムス社ではこれらの制度も設けられていない。

 役員による会社運営や社員による業務遂行を常時監査し、不正や不祥事を未然に防止する制度や、不正行為・不祥事の発生を迅速かつ正確に把握し速やかに対応するための通報制度などは極めて重要である。

 本件でも、勧誘を受けた社員らは元社員による不正な申請の可能性を会社へ報告していないが、仮に内部監査室や内部通報制度など不正行為の情報を会社(役員や上司など)へ提供できる制度が充実していれば、早期に事案を把握し、受給前に申請を取り消させるなどして不正な受給を防止できた可能性もないとはいえない。

 いずれにしろ、不正行為や不祥事の端緒を早期に把握することや、これらが行われた場合でも可能な限り速やかに事案を把握するなど正確な情報を迅速に収集することは危機管理の基本であり、このような組織や制度が整備されていないことも課題のひとつと言える。

 ウ また、近年の企業経営では、社外取締役という外部の目を取り入れ、厳しくチェックすることで経営の透明性、健全性を保つ仕組みが重要性を増している。沖縄タイムス社では非常勤の社外取締役を置いているものの、株を持ち合う友好企業の役員が就任しており、厳密に外部の目を持った社外取締役とは本質的に異なる。

 多くの報道機関が、「報道の独立性」を確保するため社外取締役制度の導入に消極的のようであるが、会社の持続的な成長と企業価値の向上に資する形でコーポレートガバナンスを実践するため、社外取締役の役割が重視される傾向は今後も続くものであり、報道の独立性を担保しつつも会社経営の透明性や健全性を確保するための制度や方法を模索することも今後の課題と思われる。

 (4) 教育研修について

 ア 上記のような規程や制度を整備しても、これらを社員が理解し実践しなければ目的を達成することはできない。そのため、社員に規程や制度を理解してもらうための研修(特に不正を防止する目的でのコンプライアンス研修)など社員教育が重要である。

 しかし、沖縄タイムス社では、社員に対して各種の研修を行っているものの、義務研修として実施されているのは新入社員研修のみであり、ほとんどの研修が任意参加となっている。

 そのため、多くの社員が業務の忙しさを理由に研修に参加しておらず、参加しても業務を理由に途中で退席するなど、研修の効果があがっていない。

 さらに研修内容についてもコンプライアンスなど不正防止や不祥事対策になるような研修は実施されていない。

 イ 研修は、目的に応じて必要かつ適切な内容を実施(企画)し、多くの社員が参加することによって教育効果が発揮されるものである。しかし、実施する会社側が研修の重要性を認識していなければ、研修内容が偏るなど目的に応じた必要かつ適切な内容の研修を準備できない結果となる。さらに、参加する社員が研修の重要性を理解していなければ、その優先順位が業務に劣ると判断し、業務の遂行を理由に研修に参加しないようになる。このような状況がまさに現在の沖縄タイムス社の実態である。

 ウ 上記のとおり、いかなる規程や制度を整備しても、これらを社員が理解し実践しなければ不正の防止は困難であり、そのためにも様々な研修の実施と社員による積極的な参加が不可欠であって、そのような社員教育が行われていないことが大きな課題と思われる。

 エ このような研修以外にも、社員のコンプライアンス意識を高める手法として、他の企業が行う朝礼等での社是の唱和や部署ごとの勉強会の開催、部署や役職、年齢を超えての意見交換会、社員からの意見を集めるための意見箱の設置など、様々な方法がある。これらの手法が全く取られていないなど、会社としての創意工夫やその意識が十分でない点も課題と思われる。

第4 検証結果を踏まえた対策(再発防止策)の提言  

1 提言の内容について

 本委員会は、本件不正受給問題を契機として沖縄タイムス社の組織的な課題を検証してきたが、上記のとおりその課題は多岐にわたることから、その対策についても、本件不正受給問題のような不正行為や不祥事対策に直結するものに限定せず、会社の適正な運営のために必要と考える対策を幅広く提言するものとする。

2 不正行為を防止するための体制の整備

 (1) 規程の整備

 ア 不正行為を防止するには、規程の整備が不可欠である。既に定められている会社の理念に関する社是だけでなく、沖縄タイムス社の役員、社員としてとるべき行動や対応を定める行動指針や行動規範、さらには会社のみならず社会のルールに従って活動することを定める倫理規程やコンプライアンス規程、内部統制(ガバナンス)規定などを新たに定め、これを全ての役職員が実践していくことが、本件によって損なわれた読者や取引先、社会の信頼を回復するために不可欠である。

 そこで、未だ整備されていない規程を精査し、速やかに整備することを提言する。

 イ さらに、課題として指摘した就業規則など既に定められている規程についても、その内容が適切なものであるか随時確認し、現在の法令や社会における要請に合致していない場合には速やかに改定することが必要である。

 ウ なお、これら規程の整備や改定は定期的に検証し続けることが必要であり、これらの作業を社内のみで行うには限界もある。そこで、必要に応じて社外の各種専門家の助言やサポートを受けながら、これに取り組み続けることが必要である。

 (2) 組織・制度の整備

 ア 沖縄タイムス社では、不正防止のための組織が十分に整備されていない。そこで、不正行為や不祥事を防止するため、会社の活動や社員の行動が社会のルールに沿ったものであるかを検証するコンプライアンス委員会の設置を検討することは不可欠である。なお、コンプライアンス委員会の委員の構成や担う役割などは会社によって様々であるため、沖縄タイムス社の実情にあった組織のあり方、活動内容を自ら決定し、活用しやすい形で運用することが好ましいと考える。

 イ 内部監査制度は、会社内に独立した管理体制として設置され、不正行為を未然に防止するための調査などを行う制度であり、会社内でのチェック機能やリスクマネジメントとして重要であって、コンプライアンス委員会と連動して運用されるケースもある。

 さらに、会社内部の問題を知る社員から、法令違反や規則違反など様々な不正行為や疑問など経営上のリスクに係る情報を可及的早期に入手し、情報提供者の保護を図りながらも不正行為を未然に防止したり早期に問題把握と是正を図る仕組みである内部通報制度の設置も、自浄作用の発揮とコンプライアンス経営を推進するために不可欠である。

 そこで、これらの制度の整備を早期に検討するよう提言する。なお、これらの制度も他の制度と同様に企業規模や使い勝手を考え、例えば内部通報制度の通報窓口を社内と社外のいずれに置くかなど、沖縄タイムス社の実情にあわせて検討することが好ましいと思われる。

 ウ 課題として指摘した社外取締役についても、経営の透明性や健全性を保つためにその必要性が高まっており、上場企業には社外取締役の設置を義務付ける会社法の改正がなされている。このような社会の要請は今後も続くものであり、「報道の独立性」を損なわない形での導入など他の報道機関に先駆けてこれらを真摯に検討していくことを望むものである。

3 研修・教育の徹底

 ア 課題の項目で指摘したとおり、沖縄タイムス社の研修は、その内容や対象者の範囲、参加形態など適切なものとはいえない。

 様々な規程や制度の充実とともに、これを社員が理解し実践していくためには研修の充実を図ることが不可欠であり、まずは研修内容やその方法を改善するよう提言する。

 なお、会社が研修内容等を改善しても、社員が積極的に受講しなければ教育効果を発揮できない。社員が積極的に参加するよう、その意識改革も含めた教育や工夫も必要と思われる。

 イ 研修以外の社員教育として、部署ごとの勉強会や部署を超えた役員・社員の意見交換会など様々な方法がある。

 例えば、他の企業の不祥事を取材しその原因や背景を知る記者(社員)が中心となり沖縄タイムス社に合った不祥事対策を議論したり、役員と社員が一緒になって様々なテーマで話し合ってみるなど、勉強会や意見交換会は不正防止のみならず社員への企業理念の徹底、企業風土の継承などにも役立つことから、沖縄タイムス社の実情にあった手法を検討することも有用である。

 ウ 研修を含めた社員教育は、不正を防止するための最も手軽で効果的な方法である。今後、充実した研修や社員教育の実現に向けて真摯に取り組むことを強く希望する。

4 グループ会社への対応

 本件不正受給問題には、沖縄タイムス社の社員とともにグループ会社の社員も関与している。そのため、これまで提言した対策は沖縄タイムス社だけでなくグループ会社にも必要なものである。そこで、グループ会社においても、規程や制度の整備については企業規模などを勘案しながら沖縄タイムス社と同様な取り組みを行い、研修などの社員教育については沖縄タイムス社と一体となって実施することを提言する。

第5 まとめ 

 新聞社の社員による持続化給付金の不正受給事件は、社会に大きな衝撃を与え、沖縄タイムス社がこれまで築き上げてきた信頼も大きく損なわれるものとなった。

 そのなかで、新聞社の社員は高い倫理観を持ち不正行為に及ぶことはないといった信頼が結果的に不祥事対策を遅らせた点やその他様々な課題が浮き彫りとなった。

 当委員会では多くの対策を提言しているが、なかには準備や検討が必要な対策もあり、これら全てを直ちに実施することが困難であることは理解している。そこで、沖縄タイムス社にとって必要性が高い対策から順次実施し、最終的には幅広い対策が実現できるよう要望する。

 社員による不正行為によって損なわれた会社への信頼を回復するのは容易ではない。しかし、その社会的責任を重く受け止め、より一層襟を正し、沖縄タイムス社のみならずグループ会社の役員・社員らが一体となって県民や読者からの信頼を回復できるよう不断の努力を続けるしかない。そのため、当委員会が指摘した課題や提言した対策を謙虚に受け止め、今後に活かしていくことを希望する。

 今回の不正受給問題は沖縄タイムス社にとって大きな痛手であったが、これを契機により信頼される会社へ生まれ変わったと評価されるよう真摯に取り組み続けることを当委員会としては切望するものである。

特別検証委員会委員

【委員長】 池田修氏=沖縄弁護士会推薦

(元沖縄弁護士会会長、ゆあ法律事務所)

【副委員長】 金城克也氏=企業経営者

(県経営者協会会長、りゅうせき会長)

【委員】 儀間常貞氏=沖縄税理士会推薦

(沖縄税理士会副会長、儀間常貞税理士事務所)

【委員】 武富和彦 沖縄タイムス社代表取締役社長

【委員】 瑞慶山秀彦 同社専務取締役

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沖縄タイムスは新型コロナウイルスに関する持続化給付金など、公的支援制度の不正受給問題の取材を進めています。不正受給に関する情報を広く募ります。

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