那覇発羽田行きの日本航空(JAL)904便ボーイング777が4日、エンジントラブルのため那覇空港に引き返し、緊急着陸した。

 離陸直後、「突然、バーンと爆発のような音と衝撃を感じた」と、多くの乗客が語っている。一部の座席では酸素マスクも下りた。

 たまたま同機に搭乗していた本紙記者は、衝撃音の後、「これまで経験したことのない振動」が続いたことで、「初めて死が頭をよぎった」という。

 乗員乗客にけがはなかったが、左エンジンは外側のカバーが外れ、ファンブレードと呼ばれる羽根の一部が破損していた。火柱が上がるのを見たという乗客もいる。

 国土交通省は、事故につながりかねない「重大インシデント」と認定した。

 航空事故には至らないものの、事故発生のおそれがあったと認められる事態を法律に基づき「重大インシデント」と、報告を義務付けている。

 運輸安全委員会は5日、航空事故調査官3人を那覇に派遣し、調査に乗り出した。

 機体にどのような現象が起きたために衝撃音が生じたのだろうか。ファンブレードが破損したのはなぜだろうか。

 この日の調査で、胴体や水平尾翼にも損傷が見られたという。

 いまさら言うまでもないことではあるが、空の安全確保はすべてに優先される重い課題である。

 運輸安全委員会に対しては、徹底した原因究明を求めたい。

■    ■

 那覇空港は、3月から第2滑走路が使用開始されたことで滑走路の運用が柔軟になり、容量が拡大した。

 観光新時代の到来を多くの関係者が期待した。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で状況は急変する。

 観光業のV字回復のためには、コロナ禍を克服することが前提となる。同じように、観光業のさらなる発展のためには安全・安心の運航体制づくりが前提となることを忘れてはならない。軍民共用空港であるだけになおさらだ。

 2019年7月、アシアナ航空機が管制官の指示に従わず滑走路に進入した。18年6月には、航空自衛隊のF15機が管制官の許可を得ずに滑走路に進入した。

 いずれも「重大インシデント」と認定されたケースである。

 航空事故や「重大インシデント」に認定される手前の「安全上のトラブル」が、19年度、第2滑走路に関連するだけでも110件あった。

■    ■

 自衛隊の南西重視政策で自衛隊機の機種、機数が増えた。スクランブル回数も増えている。

 第2滑走路の使用開始で過密状態は解消されるが、コロナ禍を克服し、観光のV字回復が実現すれば、管制業務の負担は増す。

 今回の「重大インシデント」を事故一歩手前の重大事態、だと厳しく受け止める必要がある。 

 空港業務のすべての分野に「安全の文化」を根付かせていく。その基礎の上にしか観光業は成り立たない。