[新型コロナ 沖縄の今]
コロナ禍で迎える初めての正月を前に、県内の神社や寺が初詣の混雑を避けようと感染対策に知恵を絞っている。大型のさい銭箱を設置したり、旧正月までの分散参拝を呼び掛けたり。那覇市の沖縄県護国神社は、神職が祈りを込めたお札などを希望者の自宅に郵便で送る「郵送祈願」を初めて実施する。担当者は「参拝に直接来なくても新年祈願ができる。密が気になる人は、ぜひ利用を検討してほしい」と呼び掛ける。(社会部・下里潤、中部報道部・宮城一彰)
■郵送で祈願
県護国神社は例年、参拝に訪れた人々に神主らが直接、交通安全や安産、商売繁盛などさまざまな祈願を行っている。今年は来訪者の密を避けようと「新年特別祈願」と題し、郵送で祈願を受け付ける。
希望者は事前に祈願料5千円を郵便局で支払い、申込用紙を郵送。神職がそれぞれの希望に沿って祈願したお守りとお札が、自宅などに返送される仕組みだ。
同神社の前原万岐(まき)さんは「密を懸念して神社に足を運ぶのをためらう人もいると思う。疫病や災難をはらう『人形(ひとがた)』も神前にお供えできるので、多くの人に利用してほしい」と話す。
■時間を短縮
正月三が日は24時間対応していたお札やお守りの授与について、時間を制限する動きもある。
那覇市の波之上宮は午前7時~午後6時と時間を短縮し、旧正月までは分散参拝を呼び掛ける。境内の出店は取りやめ、通路も一方通行にして参拝者が対面とならないよう配慮する。
宜野湾市の普天満宮も、お守り授与は大みそかから元日にかけては夜通し対応するが、2~3日は午前7時~午後11時とする。警備員が頻繁に声を出さないで済むよう鳥居に電光掲示板を設置して、マスク着用やソーシャルディスタンスの確保を文字で呼び掛ける予定だ。
中城村の成田山福泉寺は企業がお払いに訪れる際の人数を制限。感染状況よっては一般の参拝も入場制限を検討しているという。僧侶の松尾照英さんは「初めてのことなので、試行錯誤している。情報を集めて、できる限りの対応を取りたい」と頭を悩ませている。