琉球大学の照屋俊明教授と北里大学大村智記念研究所の花木秀明センター長らは7日、県庁で会見し、本島北部に自生する固有種「オキナワニッケイ(カラキ)」に新型コロナウイルスの感染を抑制する化合物が含まれることが分かったと発表した。カテキンの一種「カテキン三量体」で、研究成果を踏まえ医薬部外品の開発なども目指す。
研究は県の「成長分野リーディングプロジェクト創出事業」として、2017年度から実施。沖縄の植物資源や海洋生物から薬に活用できる物質を調べ、常緑樹ハマビワに新型コロナ増殖を抑える化合物「カテキン三量体」を確認した。
実験では、カテキン三量体を細胞に混ぜて新型コロナを感染させると、濃度が高くなるに従ってウイルスの増殖が低下。1ミリリットルに対して0・4ミリグラムの濃さでは、ウイルスの侵入を千分の1に抑えたという。
ただ、ハマビワは食材ではなく原料供給が難しいため、本年度調査で県内でお茶などとして市販されている28種から、同じ化合物を含む植物の有無を調査。大宜味村など北部3村に自生するオキナワニッケイに含まれることを確認した。
年間500キロほどの生産量がある大宜味村では16年度から地域資源として活用し、「カラキ茶」などの加工品を生産している。だが、含まれるカテキン三量体は10倍以上に濃縮しなければ効果は無いという。
花木センター長は、年度内にも有効な濃度の抽出方法が確立できるとし、医薬部外品としての早期実用化に意欲を示した。照屋教授は「研究成果を踏まえて大宜味村などと連携し、植物の付加価値を上げて北部の産業にも貢献できれば」と述べた。