那覇市立中学校の40代男性教員から2013年にわいせつ行為を受けた同校3年の女子生徒が高校入学後に自殺した問題で、生徒の母親(41)が8日までに沖縄タイムスの取材に応じた。「娘が父親のように慕っていた先生から裏切られた。許せない」と怒りをにじませ「子どもは大人が思う以上に繊細。心の傷を抱え、最悪の事態に追い込まれる子がいることを知ってほしい」と訴えた。

性暴力被害者支援機関のパンフレットを広げ、加害教員への怒りを口にする母親=1日、那覇市内

母親が今年9月に始めたブログの一部。亡き娘への思いがつづられている

主な相談窓口

性暴力被害者支援機関のパンフレットを広げ、加害教員への怒りを口にする母親=1日、那覇市内 母親が今年9月に始めたブログの一部。亡き娘への思いがつづられている 主な相談窓口

■中学の勉強会で

 生徒は県立高校1年の14年12月に16歳で亡くなった。

 市教育委員会の報告書などによると、わいせつ行為は13年11月に発覚。生徒は部活動の副顧問だった教員が開いていた早朝の勉強会に1人で参加した際、教員から突然キスをされてパニック状態になり、トイレや掃除道具入れに隠れるなどした。異変に気付いた友人らの訴えで、学校側は事態を把握した。

 生徒はその2カ月ほど前から「息をしていても酸素がいかない感じで苦しい」と過呼吸になり、泣きだすことがあった。母親は心療内科を受診させていたが、学校から「事件」の報告を受け点と点がつながった。

 もともと生徒は教員を強く信頼しており、いつか声優になる夢を実現した時には「恩師を聞かれたら先生の名前を言う」と話すほどだった。一方、教員と直接電話やメールでやりとりし、ドライブに連れ出された生徒が「先生に手をつながれた」と打ち明けたことがあり、母親は違和感も持った。

■心に深い傷

 市教委や学校の事情聴取で、教員は生徒に対し(1)膝に乗せ抱きかかえる(2)後ろから抱きしめる(3)スカートの中に手を入れてお尻をたたく-などの不適切な行為を繰り返していたことが判明。13年11月末、教員はうつ状態を理由に病休に入り、翌年3月に懲戒免職となった。その後、弁護士を通して生徒側に謝罪の意を示し、示談金を支払っている。

 生徒は那覇署から何度も被害届を出すよう促されたが「先生は牢屋(ろうや)に入れられるの?」「先生の家族はどうなるの?」などと心配し、応じなかったという。シングルマザーとして生徒を育ててきた母親は「この時ばかりは、娘の優しさがもどかしかった」と声を詰まらせた。

 生徒は適応障害と急性ストレス反応の診断を受け、志望高校に入学後も精神安定剤や睡眠導入剤などを服用する状況が続いた。自ら命を絶つ前には、母親や医師のほか、中学時代の部活仲間などに「先生のことを思い出したら、苦しくて泣きたくなる」「高校でもうわさが広がり、学校に行きたくない」という趣旨の話をしていたという。

■公表した理由

 最愛の娘が旅立って6年。中学校や市教委の対応に、母親は今も不信感を拭えずにいる。わいせつ行為の発覚後も教員が2日間出勤していたこと、謝罪の場で学校側から「他言しないでほしい」と言われ「相談先をふさがれた気がした」こと。さらに、教員が懲戒免職になったことを母親が知ったのは最近になってからだった。「当事者の遺族なのに、何も教えてもらえないなんて」

 やがて7年忌を迎えるのを前に、母親は一連の経緯をブログなどで公にしている。自らの気持ちの整理とともに「大人の身勝手な行為が、子どもの心に取り返しのつかない深い傷を負わせることがある。娘と同じように悩んでいる子どもたちが少しでも声を出せるようになればいい」と考えるからだ。

 毎年、命日には数え切れないほどの友人が仏壇に手を合わせに来る。今年は新型コロナウイルスの影響でできるだけ訪問を控えてもらうつもりだが、ブログにはかけがえのない娘の仲間たちに向けてこうつづる。

 〈生きてさえいれば、未来ある人生も送れる。だから無理せず、歩んでいって下さい。娘を忘れないでいてくれて、ありがとうね〉

【主な相談窓口】

沖縄いのちの電話

 電話098(888)4343(毎日午前10時~午後11時)

●県立総合精神保健福祉センター「こころの電話」

 電話098(888)1450(月・水・木・金曜日午前9時~11時半、午後1時~4時半)

県性暴力被害者ワンストップ支援センター

 電話#8891 ※つながらない場合は電話098(975)0166(24時間365日体制)

スクール・セクシュアル・ハラスメント防止全国ネットワーク(大阪)

 電話06(6995)1355(火曜日午前11時~午後7時)

●スクール・セクシュアル・ハラスメント防止関東ネットワーク(東京) 

 電話03(5328)3260(土曜日午後2時~7時)